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2020年東京五輪で大きく変貌する「渋谷」「虎ノ門」「品川」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.09.25 06:00 最終更新日:2018.09.25 08:19
東京で2回目の五輪が開催されるとなると、1964年大会の直前に起きた街の変化が2020年大会の直前にも起きるのではないかと期待する人もいるだろう。
とくに現在、50代後半以上で、東京で高架橋や鉄筋コンクリート製のビルが次々と出現し、街並みが刻々と変化したのをリアルタイムで見た人のなかには、そのような人が多いだろう。
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しかし、2020年大会の直前にはそのような街の変化は起こらない。なぜならば、東京はすでに成熟都市になっており、1964年大会直前ほどのスクラップ&ビルドを行う必要がないからだ。
ただし、2020年よりも先を見据えて、街を再開発する計画は存在する。東京都が2018年3月に発行した『都市づくりのグランドデザイン』には、都市の持続的な経済成長を牽引する国際ビジネス拠点を設けることが記されており、対象となる地域の例として、東京駅周辺や六本木、虎ノ門、品川駅周辺、新宿駅周辺、渋谷駅周辺などが挙げられている。
このうち、2020年までに大きく姿を変える街の代表例が、渋谷駅周辺・虎ノ門・品川駅周辺だ。
■渋谷駅周辺
副都心の代表的なターミナル駅がある街で、訪日客が集まる観光地にもなっている。近年は、渋谷駅を中心にして再開発が進められており、東急東横線やデパートなどの跡地に超高層ビルが建てられている。また、鉄道の乗り換えの利便を向上させるため、東京メトロ銀座線の渋谷駅を移転する工事も進められている。
2020年までには、渋谷駅前に超高層ビル群が完成し、東京メトロ銀座線の渋谷駅の移転工事も完了する。超高層ビルの一つには、展望台が設けられ、渋谷名物であるスクランブル交差点を見下ろせるようになる。新たな観光名所になりそうだ。
米国の大手IT企業であるグーグルは、六本木ヒルズに入居しているオフィスを、渋谷駅前で建設中に超高層ビル(渋谷ストリーム)に移すことを明言している。それゆえ、渋谷は「ビットバレー(渋い谷を英訳した造語)」と呼ばれるIT関連企業が集まる地域として発展することが期待されている。
■虎ノ門
霞が関の官庁街に近いオフィス街で、現在大規模な再開発が進められている。高度経済成長期に建てられたオフィスビルが更新時期を迎えたのを機に、超高層ビルが増え、街全体が生まれ変わろうとしているのだ。環状2号の部分開通と虎ノ門ヒルズの開業を機に、付近の景色が着々と変化しつつあり、今後は六本木などのように24時間働ける新しいオフィス街になる。
2020年までには、オフィスビルの多くが建て替えられる。また、交通の便を向上させるため、虎ノ門ヒルズ付近に東京メトロ日比谷線の霞ヶ関~神谷町間に虎ノ門新駅、そして虎ノ門バスターミナルが新設される。これらは、東京メトロ銀座線の虎ノ門駅と地下通路で結ばれるので、都内の各地へのアクセスが向上する。
また、虎ノ門バスターミナルに空港バスが乗り入れることで、羽田空港や成田空港にもアクセスしやすくなり、国際的なビジネスもしやすくなる。
■品川駅周辺
JRの車両基地跡地を利用した再開発が進められており、新しい街が生まれようとしている。この街は、オフィスビルだけでなく、マンションや学校、病院などが整備され、国際的なビジネスの拠点となるとともに、外国人でも住みやすい街になろうとしている。
2020年までには、この街の大部分が完成する。また、交通の便を向上させるため、街を東西に貫く幹線街路が整備され、JRの田町―品川間に新駅が開業する。この駅は、JR山手線にとって49年ぶりの新駅となる。また、品川駅は超電導リニアが導入される中央新幹線の始発駅になる予定だ。
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以上、川辺謙一氏の新刊『オリンピックと東京改造 交通インフラから読み解く』(光文社新書)を元に再構成しました。1964年の東京五輪に向けて進められたインフラ整備は、「都市改造」や「交通革命」とも呼べるほど大規模なものでした。その歴史を振り返ります。
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