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フランク・シナトラもホーキング博士も…死して遺品が競売へ

ライフ・マネー 投稿日:2018.11.15 16:00FLASH編集部

フランク・シナトラもホーキング博士も…死して遺品が競売へ

クリスティーズ公式サイトより

 

 このところ、海外では有名人の遺品がオークションにかけられることが多く、賛否両論を巻き起こしている。

 

 たとえば、今週12日には、フランク・シナトラ夫妻が生前大切にしていた絵画や身の回りの品々が競売にかけられることが発表された。今年5月に元夫人のバーバラ・シナトラさんが90歳で亡くなったため、遺族が競売を決めたという。

 

 

 クリントン大統領から送られたサイン入りの手紙もあれば、ケネディ大統領からのプレゼント、フランク・シナトラが求婚したときに贈った20カラットのダイヤの指輪もあるそうだ。入札は、12月にサザビーズで実施されるが、シナトラ夫妻はあの世からどんな思いで見ているのだろうか。

 

 また、フランク・シナトラより大きな話題となったのが、「車椅子の天才物理学者」と呼ばれたホーキング博士の遺品のネット・オークションである。

 

 こちらの競売はクリスティーズによってすでに終了しているが、博士の愛用していた車椅子やお気に入りのジャケットはもとより、博士論文や生前に受賞した数々のメダルや勲章などが、ことごとく競売にかけられた。

 

 今年、76歳であの世に旅立った同博士の数々の著作も次々に競り落とされた。世界的な大ベストセラー『ホーキング博士、宇宙を語る』のサイン本には3000ポンド(約44万円)の値が付いた。博士が宇宙の根源に迫った最初の博士論文のコピーは15万ポンドから競りが始まったが、最終落札価格は58万4750ポンド(約8700万円)であった。

 

 ホーキング博士が亡くなるまで愛用していた、トレードマークもいえる「車椅子」も売り飛ばされ、最終的に29万6750ポンドで競り落とされた。

 

 娘のルーシー・ホーキングさんに言わせれば、「父の偉大な業績を理解して下さる方々にお分けすることで、父の遺品が新たな創造を呼び起こしてくれることを期待します」とのこと。

 

 実際、ネット・オークションが開始されると、世界中から指値が寄せられ、なかでも中国はじめアジアや中近東の国々からの入札が続いた。中国だけで4億人を超えるホーキング博士のファンがいるといわれるため、相当数の遺品が中国人の手に渡ったと思われる。

 

 とはいえ、こうした遺品の競売によって、ホーキング博士の思いが新たな創造を生むことになるのであろうか。どうにも、単なる投機の対象になっているようにしか思えない。

 

 ルーシーさんの本心はわからないが、本当に父親の業績や未来への警鐘を大切に思うなら、遺品を一カ所にまとめた「ホーキング記念館」を作り、いつでも誰でも天才物理学者の思いに触れる機会を確保すべきではなかったのか。ホーキング博士の嘆きの声が聞こえてきそうだ。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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