月々はほんの少しの差でも、「塵も積もれば」で10年後に何倍もの差になるのが、家計の固定費。保険も見直す必要がある。
現在、「低金利の底」と言われる住宅ローン。金利が高いときに借りた人は、借り換えをすることで、総支払額が減ることになり、その結果、固定支出を削減できる。
その際に悩ましいのが、「変動金利」にするか「固定金利」にするかという問題だ。
ためしに本誌記者が、借り換えをシミュレーションした。2005年にマンションを4,200万円で購入し、35年固定型の「フラット35」を利用して金利は2.69%、借入残高は2433万円。総支払残額は3226万円、月々の支払いは12万3000円だ。
【変動金利に借り換えた場合】
・ローンをネット銀行の変動金利0.45%に設定
・借り換えの際に必要な融資手数料は、融資額の2.16%
・登記費用35万円
・収入印紙代2万2000円
上記条件で変動金利に借り換えをすると、総支払額が2540万円、月々の支払いが10万1000円になる。現状との月々の差額は、2万2000円だ。
【固定金利に借り換えた場合】
・ローンを金利1.39%のフラット35に設定
・借り換えの際に必要な融資手数料は、融資額の2.16%
・登記費用35万円
・収入印紙代2万2000円
上記条件で固定金利に借り換えをすると、総支払額が2950万円、月々の支払いが11万1000円になる。現状との月々の差額は、1万2000円だ。
借り換えをしても、固定金利の方が、変動金利よりも10年で120万円多く払う計算になるが……。
「ローン残高が1000万円以上、年数が10年以上残っていて、金利差が1%以上なら、借り換えを検討するべきです。ネット銀行は店舗を持たないぶん、変動金利型が0.4%台と、かなり低い。
借り換えでの金利差が0.5%でも、総返済額が安くなることもあります。各行のHPで手数料込みのシミュレーションができるので、試算してみるといいでしょう」(FPの横山光昭氏・以下同)
いざ借り換えとなって、悩ましいのが「固定か変動か」の選択。永遠のテーマだ。
「いまは固定金利が1%台とかなり低い。変動と比べて多少高くても、リスクヘッジの保険料ととらえれば固定でいいと思います。面倒くさがりの人も固定ですね。
逆に、安さを享受したい、金利もこまめにチェックできる、いざというときの借り換え手続きも苦ではないという人は、変動でいいでしょう。経済は予測してわかることではないので、答えは出ないのです」
さらに、こんな裏技もあるという。
「いま借りている銀行で借り換えるというのは難しいんですが、『他行だとこれくらいの金利なんですが、下げてもらうことはできないでしょうか』と、相談してみる。ほかに行かれるくらいなら、と金利を下げる『条件の変更』を提案してくれる可能性があります。
最低値の金利まで下がらなくても、同行だと手数料がかからないので、総支払額が安くなることがある。相談してみる価値はあります」
(週刊FLASH 2018年11月13日号)