乳がんの治療は「手術して終わり」ではない。転移しやすいために、治療が長期にわたることがある。
「とにかく二人三脚でやっていくことです。本人に押しつけない。家族の協力は治療の成果に直結します」
そう語るのは、松戸市立総合医療センター化学療法内科部長の五月女隆医師だ。抗がん剤治療のプロフェッショナルとして、全国から患者を受け入れている。週に延べ70人から80人を診察する。
「いくつか治療をおこなっても、効きにくくなったとき、『なんとかならないか』と紹介されることが多いですね」(五月女医師、以下同)
「まず、気持ちを受け止める」「なんでも診ます」姿勢が大切だという。なかにはつき合いが10年以上に及ぶ患者もいる。
「薬の効果が計算できれば、かなり全体に広がった方でもがんを小さくしてあげられます。そうすれば、先が見えてくる。短期間ではありますが、副作用の強い薬を使う場合もあります。
そういうときには、家族の方が支え、励ましてほしい。これは非常に大事なことです」
がんの治療が長期に及ぶ場合、医学的根拠がない代替療法にすがる例がある。
「『効果がある』と謳っているようですが、実際にはない。患者さんにもそう明言します。そのうえでやらないように説得する。たいていの方は理解してくれます」
早期発見と長期療養、どちらの場合も夫の果たす役割は大きい。正しい知識こそが支えになるはずだ。
(週刊FLASH 2018年11月6日号)