ライフ・マネー
大事故につながる「いびき」治療費は1カ月5000円程度
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.12.27 16:00 最終更新日:2018.12.27 16:00
あれだけ寝たのにぜんぜん眠気がとれない、家族から「いびきがうるさい!」と言われる……。中年男性なら、誰もが経験したことのある話。しかしそんな話の裏に、重大事故につながる「危険」が潜んでいる。
ここ最近、よく耳にするのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という言葉だ。文字どおり、睡眠時に呼吸が何度も止まってしまう病気だ。
【関連記事:マツコも竹山も…気をつけろ、その「いびき」は死を招く!】
2018年10月、横浜市で赤信号で停まっていた車に路線バスが追突し、乗客1人が死亡した事故では、逮捕されたバスの運転手(50)がSASと診断されていたことが明らかになっている。
ほかにも、2012年には、やはり運転手のSASが原因で、関越自動車道で7人が死亡したバス事故が発生している。SASの患者が交通事故を発生させる確率は、そうでない人の7倍という研究結果がある。
眠気に襲われるタイミングは運転中だけではない。重症になると、たとえば大事な商談の最中に眠ってしまうこともある。ふだんは運転はしないという人でも、ビジネスや日常生活でさまざまな問題を引き起こすことになるのだ。
最近の研究で、実は、SASが世界的大事故にも関係している可能性が出てきた。
1986年1月、スペースシャトル・チャレンジャー号が打ち上げ直後に爆発、乗組員7名が死亡した。また同じ年の4月、旧ソ連のチェルノブイリ原発で、史上最悪といわれる原子力事故が発生した。
当時は「SAS」という 概念が確立されていなかったが、現在ではこれらは、睡眠障害が関連した事故と考えられている。
1995年、2000人以上を乗せた客船「スター・プリンセス号」がアラスカ沖で座礁した事故は、SASによる航海士の疲弊が原因だと、はっきりと結論づけられている。
そんな危険極まりないSASに自分が当てはまるのかどうか、知りたい人は多いだろう。最近では、スマホのアプリを使って、自分のいびきの状況を確認することもできるようになった。本誌記者が無料アプリのひとつ「イビキー」を実際に使ってみた。
アプリをインストールし、スマホを電源につないだ状態で「測定開始」をタップして、枕元に置くだけ。「4時台」「5時台」のように、1時間刻みでいびきの大きさを棒グラフで表示してくれる。
棒グラフをタップすると、実際のいびきを聞ける画面に移動。記者のいびき回数は1時間平均63回、最大で1時間101回だった。
無呼吸状態について3段階で予想重症度を判定してくれる機能があり、記者の結果は「中等症」だった。
「SASの治療を受ける際は、可能であれば、日本睡眠学会の専門医療機関での受診をおすすめします。近くになければ、同学会の専門医がいる病院へ行ってください。
現在、SASを治す薬はありません。治療としては、まずマスクを鼻に装着し、圧力をかけて空気を送り込む『CPAP』を睡眠時につけてもらいます。またマウスピースを使って、下顎を前に突き出す形にしていびきを抑え、気道を確保します」
こう話すのは、睡眠専門クリニック「RESM新横浜」院長の白濱龍太郎氏。
CPAPの使用には保険が適用され、1カ月の負担は5000円程度。見た目はなかなか怖いものがあるが、効果は非常に高い。ほとんどの人は使用に慣れて、その効果を実感するという。マウスピースも保険適用で、1万円ほどで作成できる。
「ほかには、口蓋垂(のどちんこ)の一部を切除する方法もあります。また鼻中隔弯曲症など、鼻の病気がおもな原因となっている場合は、それを治療することで、SASが良化することもあります」
床に就く際、無呼吸状態やいびきを軽減させるポイントがある。
「仰向けだと舌が下がり、気道が塞がるので、横向きに寝たほうがいいです。枕が高すぎるのも、気道が塞がれる原因になります。
市販のマウスピースや鼻腔拡張テープ、口の開きを防ぐテープなども、限度はありますが、それなりに効果はあります」
そしてなにより大事なのは、生活習慣を見直すことだ。
「体重を減らすことは当然、効果が大きいです。タバコは気道の炎症を引き起こすので悪影響。飲酒も鼻の血管が拡張し、むくむことで口呼吸になりやすくなります。飲み会シーズンには気をつけましょう」
まずは、自らの睡眠状態と向き合おう。
(週刊FLASH 2018年12月18日号)