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【食堂のおばちゃんの人生相談】40歳・広告代理店社員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.01.06 16:00 最終更新日:2019.01.06 16:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/E太さん(40)広告代理店】
2017年にブームだった仮想通貨を、最高相場で購入したら、とたんに価格が大幅下落で大損しました。保持して値上がりを待つべきか、売ってしまうべきか、悩んでいます。
【山口先生のお答え】
株も仮想通貨も、私には博打と同じように思えます。つまり運次第。ノーベル経済学賞受賞者でさえ大損するんですから、きっと人知を超えた仕組みなのでしょう。
ところで、私は食堂のおばちゃんになる前は宝石屋のネエちゃん……派遣店員でした。派遣先に金とプラチナの売買をやっている店がありまして、その頃に見聞きした現象をご紹介します。
金が1番高騰したのが1980年、小売価格は1グラム最高6495円でした。それがどんどん下落して、私の勤めていた1988〜9年には、2070円から1568円にまで下がり、1999年には遂に1000円を割って917円の史上最低価格を記録しました。
しかしそれから金価格は上昇を始め、2018年9月の段階で4700円を突破しました。金の場合、1番損をしたのは1980年に買って19年後に売った人でしょう。あと20年我慢していれば、元は取れたかも知れないのに。
というわけで、損する前に売り逃げするならともかく、どうせものすごい額の含み損を抱えているなら、今更あわてて売る必要はないのではありませんか? 売った後で価格が上昇したら、悔しくて夜も眠れないですよ。
世の中って不思議なもので、流行遅れ・使い古し・中古品は価格が下がるのに、そこに「ヴィンテージ」「骨董」と名が付くと、価格は新品をはるかに凌駕します。『なんでも鑑定団』では古いブリキ玩具に100万円の鑑定額が付いたこともあるんです。
E太さん、今となっては売り急ぐのは損です。じっくり腰を据えて、あなたの仮想通貨に骨董的価値が付くのを待ちましょう!
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都・千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。最新刊『婚活食堂』が発売中
(週刊FLASH 2018年10月30日号)