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民泊で「年商300万」アラフォー独身男でもできる運営術を伝授

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.01.27 11:00 最終更新日:2019.01.31 16:10

民泊で「年商300万」アラフォー独身男でもできる運営術を伝授

タカ大丸氏が民泊を営む自宅

 

「なんでもやってやろう!」精神で取材をする、突撃ライターのタカ大丸氏。次のチャレンジとして選んだのは、「民泊」の経営だった。「民泊っていいことしかないですよ」という彼の、実体験リポートをお届けする!

 

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 私、タカ大丸は、2014年末から執筆業の傍ら、民泊事業を開始した。最初に3DKのアパート、その後同じく3DKの古民家を借り、順調に進んでいたが、2018年6月の法律 “改悪” で、突如「Airbnb」の登録ページを抹消され、私だけでなく日本全国の民泊ホストが大混乱に陥った。

 

 

 昔の近江商人は、「三方よし」と言っていたらしいが、拙著『貧困脱出マニュアル』にも明記したとおり、民泊は私が知るだけで少なくとも「十五方によい」代物である。本の刊行後、さらに十六方、十七方によいことが判明した次第だ。

 

民泊がなければ、2019年のラグビーワールドカップも、2020年の東京五輪も開催不可能であることは、議論の余地がまったくないにもかかわらず、観光庁は大部分の民泊を潰してしまった。当然、私自身も真剣に民泊事業撤退を考えた。

 

そんなときに、1本の予約が入った。ジョヴァンニとセシリアというカップルだが、じつは2年前にも1度我が家に泊まっていた。つまりはリピーターである。私は現状を伝え、場合によっては今回泊めてあげられないかもしれないと、先方に伝えた。

 

「それだったら、個人的にでもいいから泊めてくれない? 私たちは、あなたのいる場所に泊まって、東京であなたと会いたいのだから」

 

 この言葉により、私は意地でも民泊事業を続行しようと決めた。こうして私は、悪法「住宅宿泊事業法」(通称:民泊新法)を隅から隅まで徹底的に読み込んだ。

 

 結論だけ言うと、「民泊事業を続行するには、所有権付きの1軒家を購入するしかない」ということだ。逆に言えば、民泊をうまく活用すれば家1軒を買えるということだ。

 

 たとえば、私が購入した千葉県の5LDKの新築物件は、約3200万円だった。自分用の寝室以外の4部屋を客室に回して、1部屋を仮に1泊40米ドル(約4400円)で出したとしよう。

 

 40×4で1日160ドルの売り上げが見込めるわけだ。民泊新法の180日制限に基づき、160ドル×180で計算すると、2万8800ドル、1ドル110円で計算すると年間316万8000円の売り上げが立ち、単純計算だが、10年少々でローンが完済できてしまうのだ。

「本当に180日フルで埋まるのか?」とよく聞かれるが、私が都内でやっていたころは、年間300日から320日は埋まっていた。政府の規制はよけいなお世話でしかない。

 

「民泊は犯罪の温床」と、まことしやかにささやかれているが、まったくの大噓である。私は共用スペースのキッチンなどに、現金とクレジットカードが入ったヴィトンの財布を置いたままにするが、盗まれたことは1度もない。

 

 常識で考えていただきたい。爆弾テロにせよ不法就労にせよ、犯罪を犯そうとして日本に入国する者がいたとして、ホストが常駐していて面が割れる民家に泊まる者などいるわけがない。少なくとも、私が犯罪者なら、絶対に顔を見られない場所に泊まる。それが当たり前ではないか。

 

 だが、フリーランスの悲しさ、私の銀行における信用度はゼロに近い。家賃・光熱費・旅費すべてを思いきり引いて直近の決算を赤字にしていたせいか、10年以上口座を持ち、事故を起こしたことがない銀行ですら門前払いである。

 

 こう見えても私は一応売れっ子で、印税と民泊の収入を合わせれば、下手なサラリーマンよりよほど稼いでいる。銀行とは、金貸し業ではないのか。私にカネを貸さない銀行など、潰れてしまえばいいのだ。

 

 ある日、東京駅近くの飛び込みで入った銀行で担当者からかけられたのが以下の言葉だ。銀行の担当者は、39歳独身でありながら、5LDKの1軒家を購入しようとする私に懐疑の目を向けた。

 

「あなた、へんなオンナに騙されていませんか?」

 

 すったもんだの末、私は融資を受けることができた。2018年の8月下旬に引っ越したが、いざ入居すると、独り身で5LDKの1軒家暮らしは、侘しさばかりが襲ってくる。

 

 しかも都心から遠く離れてしまい、私は日本社会というか、人生の主流から外れたのかという不安も襲ってくる。

 

 しかし、自宅の写真をプロに撮ってもらい、2018年12月から正式に稼働すると、すぐに部屋が埋まり始めた。現在、5部屋中4部屋を客室として提供しているが、半月少々で約1300ドル(約14万3000円)の売り上げが確定している。

 

 この調子でいけば、今後世界中のお客様が、私の自宅のローンを払い続けてくれることになるわけだ。ロバート・キヨサキによると、自宅とは負債だそうだが、民泊をおこなえば収益物件となるのだ。実際、半分以上の予約は、私が寝ている間に入ってきているものだ。

 

各国語で書かれた浄水器の使い方

 

 

 やり方だが、まずはスマホに「Airbnb」のアプリをインストールする。そして地元自治体の役所に行き、自宅を登録する。私の場合でいえば、千葉県庁である。それから観光庁の「民泊用HP」があるので、そこに自宅に関する細かい情報・数値を入力していく。

 

 外国人を受け入れるのであれば、Airbnbサイトにおける部屋の説明書きは英語にしなければならないが、どうしても不安であれば、フリーランサー募集サイト「ランサーズ」等で、英語の説明文を書いてくれる人を探せばよい。

 

 家事についていえば、新居は食器洗い機がついているので、皿洗い等の面倒なことはいっさいない。またルールとして、滞在客には使用した食器は、自分で洗ってもらうことにしている。

 

 食事についても、仮に私が免許なしで食事を出したら法律違反になるということもあるし、そもそも私の料理などを目的に地球の裏側からやってくる人などいるわけがない。

 

 したがって完全に素泊まりであり、ベッドメイクなどは清掃業者の人にやってもらっている。しかもこの清掃料は、宿泊料とは別途追加請求できる仕組みになっているので、こちらの懐ろを痛めることなく掃除できるようになっているのだ。

 

 つい先日も、たまたま私が外出中に、滞在中のゲストが「浄水器を使いたいが、使い方がわからない」という1件があった。そのとき応対したのは英語を話せない清掃業者だったが、「Google翻訳」を使って説明した。

 

 ちなみに、現在の我が家の浄水器のそばには、それぞれの国のゲストに書いてもらった、各国語の「使い方説明書き」をずらりと並べて貼ってある。

 

 常識で考えればすぐわかることだが、旅行先の従業員に「フランスの移民問題」だの「ドイツの原発問題」などを聞く人などいるはずがない。

 

 聞くとしたら「築地への行き方」とか「最寄りのコンビニの場所は」とかパターンは決まっており、いまどきそれくらいであれば、Google翻訳を用意しておけば事足りてしまうのだ。

 

 そういえば、いつだったか、それほど英語が達者ではない中国人ゲストがGoogle翻訳で「あなたのお仕事はなんですか?」と聞いてきた。

 

 私は無言で、玄関に飾ってある今まで出した本を指さした。「こういう本を出すのが私の仕事ですよ」。するとあちらは「なるほど、あなたはアマチュアの作家さんなのですね」と言ってきた。冗談ではない。「アマチュア」とは「素人」であり、私は日本有数の売れっ子で正真正銘のプロである。

 

 まあ、ゲストとの間の意思疎通がうまくいかなかったことといえば、せいぜいそれくらいである。

 

 もし言語の勉強を兼ねてもっと話したくなったら、夕食に誘えばいい。わざわざ民泊を選ぶ人というのは、大部分が今までいろいろな国を旅行してホテルには飽き、普通ではできないローカルな体験をしたい人たちである。だからホストと食事に行けるなら、それがいちばん楽しいのだ。

 

 そのときの支払いは、割り勘で大丈夫だ。そしてレビューの得点もよくなる。一緒に食事したホストの悪口を全世界に公言するゲストはいない。

 

 なお、我が家には特別ルールがある。「もしチェスで私に勝ったら、次の日のランチをおごる」である。将棋は基本的に日本だけのゲームだが、チェスは全世界で通用する。

 

 歴代の世界王者の国籍を見ればわかる。ソ連、ロシア、インド、ブルガリア、ノルウェー……バラバラだ。女子の世界王者には、ハンガリーとか中国といった国も登場する。それだけ文字どおり世界全体に広がっているという証明である。

 

 お断わりしておくが、私のチェスは全然強くない。将棋でいえば、せいぜいアマ5級か6級レベルだろう。しかし、その程度であっても、ふだんやっていない、「15年前に父さんに教えてもらったきり」の相手にはまず負けることがない。

 

 ネタになり、思い出になり、相手が求める交流も提供しており、しかもまず負けないから、一見危険な賭けに見えて安全なのである。将棋とチェスはルーツが同じで、将棋がわかるならチェスのルールは難しくない。

 

『ボビー・フィッシャーのチェス入門』と『CHESS 5334 Problems』(László Polgár)。この2冊だけ通読しておけば、ド素人のゲストに負けることはまずない。

 

 もし、民泊を本気でやりたくなったら、いちど我が家に泊まりに来てほしい。Airbnbのサイトで簡単に見つかるはずだ。ほかのゲストと話して英語を磨きながら、到底外では話せない私の民泊運営の秘話や今までの取材の裏話を楽しめる、贅沢な時間となるだろう。

 

【タカ大丸のAirbnbでの売り上げ変遷】

 

2015年の6月は転居したためほぼゼロとなっているが、寝室2つで年間2万ドルを達成


 

2016年の売り上げ。だいたい予想どおりの数字となり、前年より売り上げがアップしている


 

6月の “法改悪” で大変なことになったが、12月に再開するとローンを賄えるようになった

 


取材&文・タカ大丸

 

たかだいまる
39歳。英語同時通訳、スペイン語翻訳者、ジャーナリスト。訳書『ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部近くのベストセラーに。最新の著書は、綺麗ごとナシでお金を稼ぐ方法を、徹底インタビューによって体系化した『貧困脱出マニュアル』。2014年末より民泊事業を開始した

 

(週刊FLASH 2018年1月29日号)

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