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進め「ご当地おでん」探検隊/別所哲也は静岡おでんを愛す
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.03.07 16:00 最終更新日:2019.03.07 16:00
全国のご当地おでんが、ほかの地域でも知られるようになり、都市部の郷土料理屋で出す店も増えてきた。そのなかでも、静岡市発の「静岡おでん」ほど、広く知られているものもないだろう。
「ふじのくに観光大使」を務める、俳優の別所哲也が、静岡おでんの魅力を語った。
「僕は、静岡市の隣の島田市出身。子供時代から駄菓子屋で1本10円のおでんを食べてきました。中学のバレー部の部活帰りにもよく寄りました。『イセちゃん』っていう、可愛らしい店だったなぁ。
子供のころは、駄菓子屋というちぃちゃなコミュニティにおでん目当てでみんな集まってきた。町の集会所ですよね。『イセちゃん』はなくなっちゃったんですけど、静岡駅近くの『青葉横丁』はいまも大賑わい。マネージャーを連れて食べにいったこともあります。
ともかく、僕にとってのおでんは、真っ黒な出汁に黒はんぺん、だし粉と青海苔がかかった、串打ちのおでんなんです。ほかにおでんがあるのも知らなかった。大学から東京に出てきて、こちらのおでんも、もちろん食べましたが、『お出汁が薄いなぁ』と(笑)。
それから、静岡は練り物が豊富でおいしいでしょ。具材からも出汁が出て、あれだけの味になる。黒はんぺんは、もちろん焼いてもおいしいけど、いちばん引き立つのはおでんじゃないかな。
基本的にはおやつ代わりに食べるんだけど、味がどんどん染みてきて、そのまま夕飯のおかずにすることもありました。それが、静岡のおでんですよね。
そういえば、今年の正月に帰省したとき、妹の家でおでんパーティをしましたよ。仲間でわいわい、具材を足しながら延々と突っつくんです。祖母の時代から家でも作ってたんでね、いわば秘伝のレシピで(笑)。そんな伝統というか、引き継がれていく感じがおでんにはありますよね。
作るのにも時間をかけないと。大根なんて煮くずれる寸前がおいしいですよね。付け焼き刃ではきかない。『なんでもちゃちゃっ』という時代に反している(笑)。だけど、そうやってゆったり家族や仲間と鍋を囲む、心の温かみというか、そういう時間も含めておいしいんですよね」
そんな静岡おでんは、東京では居酒屋チェーン「かぶら屋」や、高田馬場の「ガッツ」で食べられる。静岡おでんの特徴は、串に刺さった小振りなタネ。牛すじやモツから出る、濃厚な出汁が癖になる。
「ガッツ」店主の市川徳二さんは名門・静岡高校出身。学校そばの駄菓子屋「かどや滝浪商店」が原点というだけあり、現地の感覚を色濃く漂わせる味だ。
写真・安藤青太