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【食堂のおばちゃんの人生相談】48歳・塾講師のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.06.10 11:00 最終更新日:2019.06.10 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/あらむすさん(48)塾講師】
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保護ねこを飼い始めたのですが、いっこうに懐きません。やっと撫られるくらいになっても、会社から帰宅すると、記憶がリセットされたかのように、おびえて威嚇します。もう2カ月もこんな状態です。猫好きの先生だったらどう対応されますか?
【山口先生のお答え】
あらむすさんのお気持ち、痛いほどよくわかります。我が家も新入りのタマ(推定3歳、メス)を迎えて、同じような状態なのです。
タマは幸い人にはいくらか馴れて、最近はケージ越しにすり寄ったり手を舐めたりするのですが、先住のボニー(オス)とエラ(メス)を見るとすぐに「シャー!」と威嚇します。ボニーとエラは怖い物見たさの感じで、敵意は持っていないのですが。
私は新入りのタマが先輩たちにいじめられたら困ると思っていたのですが、とんでもない。ボニーもエラも所詮は箱入りです。ケージの中からタマに威嚇されると、どちらもすごすご逃げ帰る始末。
その迫力たるや、“スケバン” と “スケバン刑事” の違いというか、『羊たちの沈黙』のレクター博士から教養抜いたみたいというか、凄まじいものがあります。
でも、タマを見かけたとき、どうしても放っておけなくて家に引き取ったのは、私の意思です。「この子を幸せにしてやりたい」と願ったあの気持ちに嘘はありません。
だから、私は決意しました。どんなに時間がかかっても、タマと信頼関係を築くこと、そしてボニーとエラとケンカしない程度に穏便な関係を築かせることを。
猫も感情があります。だからこちらの感情をキャッチする能力もあるはずです。お辛いでしょうが、ここは我慢のしどころです。愛と忍耐があれば、情は通じます。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、最新刊『夜の塩』が発売中