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保険会社に食われる前に…「親の保険」今すぐチェック
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.08.26 06:00 最終更新日:2019.08.26 10:36
かんぽ生命保険の不正販売問題で、日本郵政は2014年から2018年の間、18万件超の顧客と不利益な契約を結んでいたことを認めた。
高齢の親を持つ読者世代のなかには、自分の親も騙されているのでは、と心配になった方も多いだろう。実家の財産は、いつか自分が受け継ぐ将来の大切な資産でもある。もしも親が貯金を切り崩して、不必要な高額保険に加入しているとすれば、大問題だ。
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そこで今回、専門家のレクチャーを受けながら、具体的な親の保険のチェック方法を紹介したい。
まずは、親がどんな保険に入っているかを確認しよう。
「保険の契約内容は、保険証券(上図)で確認できます。親がしっかりしていれば、保険証券は大事に保管されているでしょうが、紛失しているケースも多いです。
その場合は、年に一度郵送されてくる『ご契約内容の案内』を確認したほうがいい。案内には証券番号が記載されており、証券の再発行も可能です」
こう教えてくれるのは、「オフィスバトン『保険相談室』」代表の後田亨氏。
真っ先に目をとめるべきは、月払込保険料合計額(★CHECK1)。この金額が、月々に払っている保険料だ。大手外資系保険会社の現役営業マンのA氏が語る。
「平成27年度の『生命保険に関する全国実態調査』では、70歳以上の保険料の平均支払い額が、月々約2万5000円でした。前提として、保険は個人のニーズで決めるべきですが、この額がひとつの目安になります。高額だと感じたら、契約内容を精査してください」
次に「契約者」「受取人」(★CHECK2)の名義が誰のものかを確認しよう。
「高齢者の保険証券のなかには、配偶者がすでに亡くなっているのに、受取人が配偶者のままになっているケースがあります。その場合は、すみやかに変更の手続きを取る必要があります」(後田氏)
次に「必要な保険」「不要な保険」の選別だが、どう判断すべきか。
前出のA氏はこう語る。
「同じような内容の保険に重複して入っていたら、それは無駄なのですぐにでも解約していい。たとえば入院保障は、親世代であれば日額5000円もあれば十分です。それ以上のぶんは解約したほうがいい」
そもそも「医療保険は割が悪い」と、A氏は続ける。
「現在の医療費制度は、70~74歳が2割負担、75歳以上は1割負担です。3割負担の現役世代より、そもそも医療費はかからないうえに、高齢ということで保険料は高く設定されており、“元が取れない” といっていい。重い病気に罹っても、医療保険で100万円以上の給付金をもらえる人はごく稀です。逆に考えれば、貯金が100万円以上あれば、医療保険は不要なのです」
後田氏も、「高齢者には医療保険は “不要”」だと言う。
「高齢者ほど医療費の自己負担は低いうえに、『高額療養費制度』も手厚いのです」
高額療養費制度とは、1カ月の医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額が支給されるもの。現役世代にも適用されるが、70歳以上はさらに手厚い保障を受けることができる。
一般的な場合、外来で月額1万8000円、入院を含む場合でも月額5万7600円を超えたぶんは払い戻しを受けられるのだ(諸条件あり)。
となると、上のサンプルにある疾病入院特約(★CHECK4)は、真っ先に解約を検討する必要がある。