ライフ・マネー
日本酒は常温派「みのもんた」安酒を特級に変える飲み方は
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2019.11.15 16:00 最終更新日:2019.11.19 17:30
「日本酒、好きですよ。取材だからカッコいいことを言いたいんだけど、なんだって飲みます。昔は、きき酒みたいな楽しみ方もしていたし、能書き垂れてたんだけどね」
日本を代表する名司会者・みのもんたからは、意外とも思える言葉が飛び出した。
【関連記事:金賞メーカーに聞く「日本酒の極意」美味しさより好みで選べ】
いろいろな日本酒を飲んできたようだが、若いころによく飲んでいたという、「燗冷まし」の思い出を語ってくれた。燗冷ましとは、燗酒が冷めたもので、一般的には美味しくないものとされるが……。
「あるお座敷で、女将さんがお客さんの飲み残した日本酒を、毎日こっそり集めてたんだよね。1日5合から1升くらいにはなってたかな。僕もよく飲ませてもらっててね。それがうまいんだよな。
本来お酒って、お座敷の主役。でも、宴が終わったとたんに、脇役どころか、見向きもされなくなる。そのお酒を僕らが味わう。それがいいんだよね。
人生そのものじゃない。わびしさみたいなものが味になるんだよ。実際は、ただ酒好きなだけなんだけどね(笑)」
30代からおよそ10年間は、水道メーター会社の営業で、日本中をまわっていたようで、地方で味わう日本酒も、また格別だったという。
「熊本だったと思うんだけど、水道局に営業に行ったとき。商談がひと通り終わったんで帰ろうと思ったら、局長さんが『庭で一杯やらないか』と誘ってくれてね。
すぐ近くの河原の竹林から、竹を切り出すんだよね。何をするのかと思ったら、竹の容器を作ってそこにお酒を入れて、焚火の中にくべてさ。燗酒にしてみんなで飲んだんだよね。
『かっぽ酒』っていって。あれも最高だったな。おかげさまで、その後は仕事にならなかったよ(笑)」
本当に、嬉しそうに語る。聞いているだけで、こちらも楽しい気持ちになり、軽く酔いがまわってくるようだ。誰と、いつ、どこで、どのように……といった “5W1H” で日本酒を嗜むのが、「みの流」なのだろう。
「どんなにいいお酒でもね、楽しい人と飲まなきゃまずくなっちゃう。僕の流儀なんだけど、お酒を飲むときは仕事の話は絶対にしない。
こないだも収録明けで、ガレッジセールのゴリ君と川ちゃんと飲んだんだけど、仕事の話はいっさいなしだったね。高田純次とも飲むけど同じだよ。どうせ飲むなら楽しく飲まないともったいないからね」
いちばんおすすめの飲み方も、ぜひ聞いておきたい。
「熱燗、冷酒も好きだけど、やっぱり常温。作り手の思いをいちばん感じられるね。
酒粕をスライスして、炭火で軽くあぶって合わせるのも好きだな。でも結局は、塩か味噌。いちばんお酒の味を邪魔しないんだよね。いろいろ試してきて、最終的に行きついたんだけど。
塩と味噌をつまみに常温でキュッとやる。まずは舌先で味わってね。すると、とんでもなく安いお酒も、喉を過ぎたあたりで、素晴らしい特級酒に変わるんだよね」
最強の組み合わせは、“常温、塩、味噌” でファイナルアンサーだ。
【みのもんたが伝授「日本酒の飲み作法」】
●みの作法(1)
「まずは、手のひらに少しだけ日本酒をつけて、こすり合わせる。次に、手のひらで、鼻と口のあたりを覆う。すると、いい香りがフワッと広がって、最高なんだよ」
●みの作法(2)
「燗酒の温度をみるときは、お銚子の底の部分をさわるといいんだよ。『どれだけ底上げして量をごまかしてるか』も、わかるしね(笑)」
●みの作法(3)
「あふれるまで注いでもらって、表面張力の部分をすするのが幸せだね」
みのもんた
1944年生まれ 東京都出身 立教大学卒業後に、文化放送に入社。退社後は父親が経営する会社で勤務しながら、誰もが知る人気司会者に
(増刊FLASH DIAMOND 2019年11月15日増刊号)