高齢者施設、介護施設にはさまざまな形態がある。どんな施設を選ぶべきなのだろうか。
「まず、どれくらい介護が必要な状態なのか、各市町村に申請して、介護認定を受ける必要があります。介護度によって入居できる施設が変わってくるからです。
公的介護保険の『要介護3』以上に認定されれば、『特養』の申請が可能になります。介護型ケアハウスは、『要介護1』から入居可能で、特養同様に低コストなので、資金に余裕がないという方に紹介することが多いです。
有料老人ホームとなると、幅はあるものの、大都市圏ではかなり高額です。しかし、地方であれば話は別。入居一時金も安く、月の負担も、年金内でまかなえるところも探せます。
入居してしまえば、外出する機会は少ないですから、地方で探すのは有力な選択肢です。じつは待機者の数には、かなり地域差があるのです。地域によっては、申請から2~3カ月程度で入居可能なところもあります」
細かな施設ごとのルールにも、注目すべきだという。
「自宅で “晩酌” を楽しみにしていた人は、晩酌に関するルールをチェック。自分の部屋での飲酒はOKでも、食堂で晩酌はできない施設も多いからです。
でも、探せば晩酌できる施設もある。本人の細かな嗜好を考慮して、満足できる施設を探すべきです」
しかし、なにより大きな問題となるのは、お金だろう。
「あくまで平均ですが、介護期間は5年弱、費用は500万円というのが目安になります。しかし、実際には介護が年10以上に及び、“介護破産” するケースもあるのです。
特に男性高齢者は、自分の寿命を短く見積もりがちで、介護する子供たちも、それにつられて介護費用を見積もりがちです。しかし、親が実際に施設に入居すると、健康的な生活になり、長生きするケースも多いのです。
注意が必要なのは3000万~5000万円の老後資金を準備しているような家庭。余裕があるので油断しがちで、いざ親が要介護になって探した施設が割高で、数年後に資金がショート……そんな悲劇も、実際にあるのです」
“そのとき” は、待ったなしでやってくる。目を背けずに向き合おう。
(週刊FLASH 2020年1月28日号)