「女性と出会える街」ランキング…2位は福岡、1位は？

　それにしても、なぜ男女の人口比にこれほど差が出るのか。兵庫県芦屋市（第5位）の市役所担当者は、「あくまで推測」と断わったうえで、こう答えた。

 

「『女性ひとりでも安心して暮らせる安全な街』と位置づけられているのではないでしょうか。男性が単身赴任しているケースも、多いのかもしれません。大正時代から一貫して、芦屋は女性の比率が高い傾向にあります」

 

　単身赴任の夫を持つ、人妻たち――。これもまた、魅力的な響きを持っている……。一方、国立社会保障・人口問題研究所の人口構造研究部長・小池司朗氏は、「男女の寿命の差」の影響を指摘する。

 

「一般的に、寿命は男性よりも女性のほうが長い。そのため、高齢者人口の多い地域では、結果的に女性人口のほうが多くなる傾向があります」 

 

　平均年齢が53歳の五所川原市は、まさにこのパターンだ。

 

「男女比は、産業構造とも深く関係します。福岡市や札幌市に代表されるように、女性人口が多い地域は、女性の就業が多いサービス業が盛んな場合が多いですね」（小池氏）

 

　逆にワースト、つまり女性の人口比率が低い順に見た場合はどうなるのか。以下がワースト10だ。

 

【女性の比率が低い街ワースト10】※「％」は男性人口に対する女性の割合
・1位：大阪府・大阪市西成区（人口11万1883人）／73.1％
・2位：青森県・六ヶ所村（人口1万536人）／81.2％
・3位：福島県・南相馬市（人口5万7797人）／85.4％
・4位：神奈川県・川崎市川崎区（人口22万3378人）／87.0％
・5位：静岡県・小山町（人口1万9497人）／87.7％
・6位：群馬県・大泉町（人口4万1202人）／88.4％
・7位：愛知県＿みよし市（人口6万1810人）／89.3％
・8位：神奈川県・横浜市中区（人口14万8312人）／89.9％
・9位：愛知県・豊田市（人口42万2542人）／90.2％
・10位：滋賀県・竜王町（人口1万2434人）／90.8％
※総人口1万人以上の市区町村に限る

 

　意外にも、「女性が少なくてつらい！」といった声は、聞こえてこなかった。第3位の福島県南相馬市に住む男性（45）は、こう言い切る。

 

「東日本大震災以降、原発関連企業で働く男性が増えました。でも、女性と出会いたい男性は仙台に行くので、つらくないですよ」

 

“男余り” にも、地域の産業構造が影響しているようだ。第6位の群馬県大泉町の工場勤務の男性（33）は、こう分析する。

 

「このあたりは工場が多く、最近はここで生まれ育ち、そのままこの街で働くブラジル人2世の男性が増えています。言葉の壁があっても、女性は都心の飲食店に勤める方がいますが、男性は工場にしか勤め口を得られず、ここにとどまることが多い」

 

　ともかく、日本全国に “女性と出会える街” が存在することはわかった。今すぐその街に引っ越し――は無理でも、せめて旅の目的地にしたいものだ。

 

【女性の比率が高い街11～30位】※％は男性に対する女性の割合
・11位：福岡県・川崎町（人口1万6789人）／120.8％
・12位：北海道・札幌市中央区（人口23万7627人）／120.5％
・13位：福岡県・田川市（人口4万8441人）／120.5％
・14位：大分県・別府市（人口12万2138人）／120.1％
・15位：北海道・芦別市（人口1万4676人）／120.1％
・16位：青森県・板柳町（人口1万3935人）／119.6％
・17位：北海道・七飯町（人口2万8120人）／119.3％
・18位：山口県・周防大島町（人口1万7199人）／119.3％
・19位／鹿児島県・南さつま市（人口3万5439人）／119.2％
・20位：福岡県・嘉麻市（人口3万8743人）／119.1％
・21位：北海道・札幌市厚別区（人口12万7767人）／119.1％
・22位：鹿児島県・指宿市（人口4万1831人）／118.4％
・23位：和歌山県・那智勝浦町（人口1万5682人）／118.4％
・24位：秋田県・三種町（人口1万7078人）／118.3％
・25位：福岡県・北九州市門司区（人口9万9637人）／118.2％
・26位：青森県・弘前市（人口17万7411人）／118.0％
・27位：山口県・萩市（人口4万9560人）／118.0％
・28位：三重県・熊野市（人口1万7322人）／118.0％
・29位：京都府・京都市下京区（人口8万2668人）/117.9％
・30位：福岡県・大牟田市（人口11万7360人）/117.9％
※総人口1万人以上の市区町村に限る。小数点第2位を四捨五入

 

（週刊FLASH　2020年3月10日号）