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【東京「古民家」再生記】(3)プロが見立てたわが家のオンボロ度ライフ 投稿日:2016.05.22 15:00

【東京「古民家」再生記】(3)プロが見立てたわが家のオンボロ度

プロの建築士に我が家を診てもらう

 

 古民家を購入する場合は、「現況有姿」が一般的である。 「現況有姿」とは、簡単にいえば「そのまんま」で明け渡すという意味だ。

 

 築100年ともなれば、人間と同じで、あっちこっちに故障が出てくる。少々の痛みは目をつぶり、気長に自力で改修していくことにした。

 

 そこで遅まきながら、「古民家再発見の会」を主宰する一級建築士の池田登さん夫妻にお願いして、痛み具合のチェックと、改修のアドバイスをいただくことにした。

 

 まずは屋根。母屋を回り込んで、山側から家を見下ろしてもらう。

 

畑側から人力山荘を見下ろす。トタン屋根の痛みが激しい

畑側から人力山荘を見下ろす。トタン屋根の痛みが激しい

 

「屋根はナマコ板(トタン板)ですね……かなり傷んでます。杉が多いと傷みやすいんですよ」

 

 家の周辺は杉林で、杉の枯れ葉が屋根一面に堆積している。積もった枯れ葉をそのままにしておくと、トタンの腐食が進行するのだそうだ。3年間も無人のままだっただけに心配だ。

 

「でも、昔のナマコは厚みがあるから、まだ使えると思いますよ。一度はがして洗って塗り直したらいいです。そうすればあと数年は持ちます」

 

 修繕しても、たった数年しか延命できないらしい。これは厄介な問題だ。

 

 とはいえ、まずは早めに杉の枯れ葉を掃除する必要があるだろう。

 

 次に縁の下。

 

縁の下には接ぎ木した土台が。しかし、補修してあるので大丈夫

縁の下には接ぎ木した土台が。しかし、補修してあるので大丈夫

 

「……一部、基礎が腐ってます。でも添え木して修理してあるから、このままでも大丈夫」

 

 ふう。よかった。ひと安心。「1年以内に倒壊するでしょう」 とか言われたら、どうしようかとヒヤヒヤしていたのである。

 

 古民家を買うにあたって、一番怖いのが修繕費がかさむことだ。最悪のケースは「建て替え」である。自分でコツコツ修理できる程度ならいいが、建て替えとなると、もはや古民家を買った意味がなくなってしまう。

 

 よく見ると、柱や梁に直径5ミリほどの小さな穴が無数に開いている。もしかして……シロアリ?  

 

「シロアリは来てませんね。大丈夫ですよ。これはなにか別の虫でしょう」

 

 私は再び胸をなで下した。あとで地元の人に話を聞くと、小さな穴は「コシブトハナバチ」という小さな蜂の巣だという。材木に穴を開けて営巣するそうだ。

 

「あれは……囲炉裏じゃないかな」

 

 奥を覗き込んでいた池田さんが声を上げた。なるほど、入り口側の8畳間の中央に、四角く囲った板が見える。さすが専門家。素人ではわからない部分をちゃんとチェックしてくれる。

 

「ウチの福島の古民家にもね、ひと部屋にひとつずつ囲炉裏が切ってあるんです。きっとこの家もそうだったんじゃないかな」

 

 日本家屋は気密性が低いから、冬の寒さが厳しい。それで、各部屋に囲炉裏を切って暖をとったのだ。これは思わぬ拾いものである。

 

畳の下は板一枚隔てて地面が見える。これは、冬は寒そう

畳の下は板一枚隔てて地面が見える。これは、冬は寒そう

 

「外壁は……新建材ですね。これじゃあ味気ない」

 

 外壁は茶色の合板である。築100年にもかかわらず、「古民家」というより「ただの古い家」にしか見えないのは、まさにこれが原因だった。やはりここは壁を替えて古民家のフンイキを演出すべきだろう。

 

「一番簡単なのは漆喰にすることです。それとここ、『防火地域』の指定はあるんですか?」

 

 おお。そんな名前の法令制限があったような気がする。契約書をひっくり返してみると「準防火地域」に指定されていた。

 

「そうですか……そうなると外壁には、耐火性の建材が必要になるかもしれません。まあ隣に家が建つことはないでしょうけど」

 

 準防火地域とは、市街地で延焼を防ぐために指定されるエリアのことだ。指定地域に延べ床面積500平米以下の木造3階建て住宅を建てる場合、外壁を防火構造とするなど、一定の基準を満たさなくてはならない。

 

 ただし、人力山荘は2階建てで延べ床面積66平米なので、特に規制はないとわかった。

 

 そして屋内をチェック。私が見ると、なんとなく家全体が谷側に傾いているように見える。フスマの閉まりも悪い。水平器であちこちを計っていた池田さんが言った。

 

「大丈夫みたいですよ。若干山側にへこんでますけどね」

 

水平器で、家の傾きをチェック

水平器で、家の傾きをチェック

 

 素人目にはどうしても傾いて見えるのだが、それはやっぱり斜面の家だからなのだろう。壁はどうか?

 

「壁の板をはがしたら『木舞』(こまい)が出てくるんじゃないかなあ」

 

「木舞」とは、ワラなどを混ぜた土塗りの壁のこと。その上に壁板を張りつけているようだ。やはりここは、新建材の壁板をはがして漆喰でいきたい。

 

 せっかくだから、天井もはがして吹き抜けにしたい。天井裏に上がる入り口が玄関にあるので、ハシゴをかけて登って見てもらった。

 

「天井裏は物置になっているんですね。……太い梁が見えます。吹き抜けにした方が古民家らしくなりますよ」

 

大黒柱もあるが、防寒のための天井が邪魔をして、古民家らしさに欠けている

大黒柱もあるが、防寒のための天井が邪魔をして、古民家らしさに欠けている

 

 古民家の醍醐味はなんと言っても太い柱と梁である。だが、防寒のために天井が張ってあり、大きな梁が隠れてしまっている。確かに吹き抜けにした方が、より古民家らしくなりそうだ。

 

 ひと通り診断してくれた池田さんが言った。

 

「建物自体はしっかりしています。これで200万円ならいい買い物ですよ。よかったですね」

 

 ……やった!

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