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【数字は踊る】万引きの年間被害額なんと4615億円だって!

連載FLASH編集部
記事投稿日:2016.09.07 12:00 最終更新日:2016.09.26 14:37

【数字は踊る】万引きの年間被害額なんと4615億円だって!

 万引きのせいで命を落とすところだった。

 2015年8月、北海道釧路市内にあるコンビニで、16歳の少年2人が店内のタバコ6箱を盗み、車で逃げようとした。それを制止した店の経営者男性(48歳)が、車にひきずられて負傷する事件が起きたのだ。

 

 幸いにも男性は打撲程度の軽傷ですみ、警察は少年2人を窃盗容疑で逮捕。車に乗っていた少年少女4人のうちの、誰かの母親が車を運転していたというから驚きだ。

 

 被害は少額でも、万引きは世間をたびたびお騒がせする。

 

 万引きの1年間の被害総額をご存じだろうか? 信じられないと思うが、4615億円といわれている。2013年の振り込め詐欺など「特殊詐欺」の被害額が約486億円(2014年版『犯罪白書』)だから、10倍近い額だ。

 

 しかし調べてみると、この額は2007年の万引きの対象となる小売業の売上額約98兆2045億円をベースに、「全国万引犯罪防止機構」が調査した資産ロス率(0.94%)や、不明ロス高に占める万引率(約50%)から推定した額である。額はともかく、やや古い数字といえるだろう。

 

 万引きだから一度にたくさんの品物を盗むわけではない。

 

 実際、2014年版の『犯罪白書』で「前科のない男性万引き犯」の被害額別構成比を見ると、1000円未満が25.7%、1000~3000円が24.8%と3000円未満が全体の50.5%を占める。1回の額は少ないが、万引き犯と回数が多いので、ちりも積もれば山となる。

 

●3人に1人が万引きを繰り返す

 

 言葉の軽いイメージとは裏腹に、万引きはれっきとした窃盗罪であり、刑法235条は「10年以下の懲役、または50万円以下の罰金」と定めている。

 

 未成年者がスーパーなどで万引きした場合は代金を支払い、保護者ともども説諭されて帰されることが多いようだが、成人が警察に連行されれば窃盗犯として刑務所送りということもある。

 

 前出の『犯罪白書』によれば、万引き犯に対する刑の77%が罰金刑となる。罰金刑は10万円(4.1%)、15万円(0.8%)、20万円(54.1%)、30万円(37.7%)、30万円超(3.2%)の割合になっている。

 

 1000円とか2000円の商品を万引きして、10万円以上の罰金を払うことになる。なかには罰金を払うために、また万引きをするという手合いもいるそうだ。

 

 ではいったい何を万引きするのか?「全国万引犯罪防止機構」の2012年度の調べによると、食料品が圧倒的に多く、以下順に雑貨・アクセサリー、化粧品、酒・タバコ、衣料品、菓子、CD・DVD、日用品、医療品、本・雑誌となる。

 

 狙われる店のジャンルは多い順にホームセンター、カー用品店、家電ショップ、スーパー、書籍・文具店、総合ディスカウントストア、ドラッグストアである。

 

 前出の「前科のない男性万引き犯」の年齢別構成比を見ると、29歳以下(20.3%)、30~39歳(17.8%)、40~49歳(15.9%)、50~64歳(26.7%)、65歳以上(19.2%)となっている。万引きは「一度やれば1万回繰り返す」が語源というシャレのような説もあるが、確かに再犯が多い。

 

 上記の男性万引き犯の2年後の再犯率は40~49歳が31.8%と最も高く、ほぼ3人に1人がまた万引きに手を染めている。

 

「1000円だから」は通用しない。繰り返すが、万引きは窃盗罪である。

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