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音声分析で事件を解決し「バウリンガル」を作った男、ヒット曲は作れるか/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.07.16 16:00 最終更新日:2023.09.02 23:09

音声分析で事件を解決し「バウリンガル」を作った男、ヒット曲は作れるか/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

鈴木さん(左)と日下アナ

 

「音」は身近な存在ですが、周波数や特性を分析することで、事件を解決に導いたり、赤ちゃんを泣きやませる音楽を作れたりと、私たちがふだん気づかないたくさんの活用法があるそうです。

 

 今回は、音声分析37年の実績を持つ日本音響研究所の鈴木創所長に、音声・音響分析でどのようなことができるのか、お話を伺いました。

 

 日本音響研究所は、1974年、創さんのお父さまでいらっしゃる松美さんが設立しました。松美さんは、警察庁の科学警察研究所で音声・音響の研究に携わり、昭和の数々の事件を解決に導いてこられました。声紋研究の第一人者としてメディアへの出演回数も多く、いまも名前を記憶している方もいるのではないでしょうか。松美さんは2012年9月に退任し、創さんに後を託されました。

 

 

――これまで親子2代にわたり、どんな事件の捜査に協力してこられたのでしょうか?

 

「たくさんありますよ。日本の刑事事件捜査で、最初に音声分析が採用されたのが、1963年3月、台東区入谷で起きた、村越吉展ちゃんの誘拐殺人事件でした。

 

 身代金を要求する犯人からの電話の録音に初めて成功し、犯人の肉声がテレビやラジオで流されました。当初、約1万人を超える被疑者がいましたが、この音声テープをFBIも使っている分析器メーカーに持ちこんで分析し、絞り込みに成功しました。当時の機械は、まだアナログでした。分析機に記録紙を巻きつけ、声の紋様を書き込んでいくタイプです。

 

 そのほか、グリコ森永事件や、大韓航空機撃墜事件、日本航空123便墜落事故、甲府信金OL誘拐殺人事件などで声紋分析に協力しています」

 

――声紋分析で、どのようなことがわかるのですか?

 

「身長や顔の輪郭など身体的な特徴もわかります。一般的に身長が高い人の方が、声が低いです。声紋分析でだいたいの身長は推定できますね。顔の特徴では、えらが張っている方が低い響きのある声が出たりします。

 

 また、声の上ずりなどで緊張や嘘を見抜くこともできます。

 

 1995年の地下鉄サリン事件の後、オウム真理教の上祐史浩氏がテレビの生放送に出演し、第1から第6サティアンに何があるかという説明をしていたのですが、第2と第6だけ声が上ずっていたんですよ。あとでわかったのですが、第2サティアンには麻原が隠れていて、第6サティアンにはサリン工場があったのです。

 

 甲府信金OL誘拐殺人事件では、方言で犯人の出身地が特定でき、『お札の帯封は無地のもので』というセリフから、日常的に大金を扱う仕事をしていると判断できました」

 

――事件の捜査以外には、どのような依頼がありますか?

 

「おもちゃメーカーから商品開発の依頼を受けることもあります。1990年代以降は、バラエティ番組からの依頼も多く来るようになりました。

 

 あるとき、動物を扱った特別番組で犬の声を分析したことがありました。すると、犬語の分析が可能なのではないかという話になり、『バウリンガル』の商品開発に携わることになったのです。『バウリンガル』は2002年、玩具メーカーのタカラから発売されました。

 

 商品自体は30万台の売り切りプロジェクトだったため、すぐに完売したのですが、CNNがおもちゃショーに取材に来て取り上げたことでアメリカで話題になり、同年の『イグノーベル賞』を受賞しました。ボストンでおこなわれた受賞式では、犬の着ぐるみを着てステージに立ちましたよ(笑)。

 

 最近では、赤ちゃんが泣きやむ『赤ちゃん けろっと スイッチ』(タカラトミー)の開発に関わっています。テレビで流れると赤ちゃんが泣きやむと言われている『タケモトピアノ』のCMの音声を分析して、音やリズムがくるくる変わり、赤ちゃんの興味を引きつける音を作りました」

 

――そのノウハウを使えば、ヒット曲も作れそうですね。

 

「実際に、テレビ番組で面白い実験をしたことがあります。ヒット曲の要素を分析して、曲・リズム・声・歌詞の最適解を計算し、番組のエンディング曲にしてみたのですが、これがまったく売れなかったのです。この実験で、最適解が必ずヒットするとは限らないことがわかりました。

 

 とはいえ、アーティストからの依頼も多いですね。声の分析だけでなく、『SEKAI NO OWARI』のメンバーからは、誰も使っていない楽器を手に入れたいという依頼を受け、Fukaseさんご本人の心臓の音や泡のはじける音などを楽曲にいれるお手伝いをしたこともあります」

 

 音響研究所のお仕事は、実に幅広くて、興味深いですね。

 

■ボーカルコミュニケーションで失敗しないための3カ条

 

(1)会議を録音してみよう
 録音すると自身の発言に慎重になるため、失言が減ります

 

(2)電話の声は信用するな
 限られた情報しかないため、再チェックしましょう

 

(3)目を見て話そう
 正面から話しかけることにより、認識度があがります

日下千帆

1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も

( SmartFLASH )

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