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「黒人の命も大切」ペイント、米国中に広がってトラブル多発

社会・政治 投稿日:2020.07.12 13:00FLASH編集部

「黒人の命も大切」ペイント、米国中に広がってトラブル多発

 

 1カ月ほど前、ホワイトハウスの目の前の道路に、「BLACK LIVES MATTER(黒人の命も大切)」という巨大な黄色い文字がこつ然と現れた。

 

 このペイントはその後、「BLMミューラル(壁画)」と呼ばれ、今ではトランプタワー前の道路など全米各地で見られるようになった。

 

 

 シリコンバレーでは、オーディションにより選ばれた16の地元アーティストグループが、それぞれのデザインによる文字を道路に描いた。白と黒だけのモノトーンからカラフルな花柄まで、個性的なBLMミューラルが完成し、道ゆく人たちの目を楽しませている。

 

 水性ペイントで描かれており、乾季で雨が降らないため、徐々に車のタイヤの摩擦により消えていく予定だ。

 

 ところが、最後から2文字目の「E」の文字にジョアン・チェシマードという人物が描かれていたことで、問題が起きた。彼女はかつて警官を殺した上に脱獄して、FBIの最重要手配テロリストに指定された初の女性で、黒人解放軍のメンバーだったからだ。

 

 そのため、全米警察官協会が、このペイントを消すように依頼を出した。これに対し、最後のRを担当したアーティストらがペイントの保存を訴え、自身の車を車道に駐車して通行を止め始めた。問題となったEの真上に車が止められ、意図的に文字を隠した状態になっている。周辺住民は道路の迂回を余儀なくされたままだ。

 

 BLMミューラルは各地で汚れが目立ち始めており、保存したいという運動は他にもある。
 一方、この運動を快く思わない人が上からペイントを重ねたり、汚したり、新たに「白人の命も大切」との文字が現れたりと騒動が続いており、逮捕者も出ている。

 

 今月末に開催が予定されているNBAのバスケットコートにもBLMミューラルが現れる予定で、日本人が思う以上にBLMのメッセージが大切にされている。米国内では、反黒人差別運動の話題がまだまだ続きそうだ。(取材・文/白戸京子)

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