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海上自衛隊ご自慢の飛行艇に同乗「これが海上救難の現場だ」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.09.05 18:00 最終更新日:2016.12.16 21:21
防衛ジャーナリストの桜林美佐氏が、海上自衛隊の飛行艇に乗った!
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2009年5月。フィリピンのクラーク空軍基地に大勢の人が集まっていた。
「なんて素晴らしい飛行艇なのだ!」
日本のほか、米国、オーストラリア、EU、インドネシア、韓国など12の国と地域が参加した合同演習でのことだ。
人々の前に救難飛行艇US−2の大きな機体が見えたとき、その迫力に「お〜っ」とどよめきが起こる。超低速飛行をしながら、ゆっくりと静かに進入する機体に、皆が釘づけとなっていた。
「ざざっ」
着水音とともにUS−2が水面に降りた。また大きな歓声があがった。すぐに搭乗員がゴムボートを発進させ、スピーディに救助活動に取りかかった。
そして、離水を告げるアナウンスと同時に、機体は「船」から「飛行機」へと瞬時に姿を変え、真っ白な水煙をあげながら海面を離れていった。その間、約10秒ほど。会場では全員が立ち上がり、割れるような拍手が響いた……。
この世界一の飛行艇が、いま、海外輸出できないか注目を集めている。そこで、まずは私も実際にUS−2に搭乗させてもらうことにした。
朝7時過ぎ、海上自衛隊岩国航空基地にある第71航空隊に、飛行服姿の隊員が次々に集まってきた。これから飛行前ブリーフィングが始まる。
「その日の気象、民間機の離発着予定、波の高さ、訓練の想定などを、ここですべての乗員や整備員が頭に入れるんです」
広報担当者が説明してくれた。ブリーフィングルームには、まだ初々しい20歳前後くらいの若者から、50代のベテラン中のベテランの姿が揃った。整備要員には女性もいる。
私は、「訓練は午前11時からですよね?」と何度も確認してしまった。ブリーフィングや朝礼が終わっても、まだ2時間以上ある。あまりに集合が早すぎると思ったのだ。
「飛行前の点検には2時間、訓練後の整備には3時間かけますから」
隊員の一人が爽やかに答えてくれた。実際に訓練をおこなっている時間より、はるかに長い時間を準備や整備にあてる。こうした工程を毎日コツコツと繰り返していくことで、いざというときに、うまくいくのだろう。