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菅首相が任命した「孤独担当大臣」世界で好意的に報道される

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.24 19:00 最終更新日:2021.02.25 04:29

菅首相が任命した「孤独担当大臣」世界で好意的に報道される

設置された「孤独・孤立対策担当室」

 

 森喜朗・五輪組織委前会長の女性蔑視発言のように、海外で驚くほど反応がある日本発のニュースが続いている。いま話題になっているのが、2月19日、内閣官房に設置された「孤独・孤立対策担当室」のニュースだ。

 

 孤独・孤立対策担当大臣は英語で「Minister of Loneliness」と呼ばれ、アメリカ、イギリス、ロシア、韓国、インド、フィリピン、ケニアなど世界中で報道されている。

 

 

 多くのメディアが、パンデミックで日本の自殺率が11年ぶりに増加したこと、2020年の自殺者は新型コロナの死亡者数よりはるかに多いこと、 特に女性が急増していること、多くの女性が不安定な雇用状態にあることに触れている。

 

 ひきこもりや孤独死などという言葉とともに報じたり、珍しい肩書きだったため、「Why?」とタイトルに含めたニュースもある。このニュースが世界的に驚かれた背景には、海外で自殺に関する報道が少ないことがあげられる。

 

 WHOがまとめた国別の統計によると、2016年の国民10万人あたりの粗自殺率は日本が18.5、アメリカが15.3、イギリスが8.9、イタリア8.2、中国が9.7といったところだ。数値の大きいところでは、韓国の26.9、ロシアの31があるが、日本の自殺率は世界でも高い方である。

 

 また欧米では、自殺報道が新たな死を招いてしまう影響を考慮し、報道を差し控える傾向がある。事件として報じる場合は、どんな手段だったかは伝えないし、言葉遣いにもガイドラインが設けられている。

 

 このため、海外では自殺のニュースに触れる機会が極端に少ない場所が多い。そうしたなか、自殺増で誕生した孤独・孤立担当大臣のニュースに驚きを覚える人が多かったのだろう。

 

 ニュース自体は、もの珍しさから注目を浴びたが、内容に関しては共感を得ているようである。「今まさに望まれている思慮深い措置」「素晴らしいアイデアだ」「わが国にも必要だ」といった反応が多い。

 

 実は、イギリスではひと足早い2018年から孤独担当相を置いている。

 

 孤独度を測る指標を統一して活用しているほか、意識を変える努力をしたり、交流団体に働きかけをしている。具体的には軽い運動を促すオンライン講座を催したり、電話で話したりなどだ。また、オーストラリアにも似たような動きが出ているという。

 

 孤独を感じたら、どこかで話をしてみるのもいいだろう。厚生労働省のホームページには相談窓口の情報がたくさん載せられている。こころ健康相談統一ダイヤル、いのちの電話、18歳以下向けのチャイルドライン、LINEやチャットで相談できる窓口などなどだ。

 

 お役所だけでなく民間にもサポート団体はあるし、孤独以外に法律や金融に関する相談窓口もある。不安を感じたら、ぜひアクセスしてほしい。

 

 毎年3月は自殺対策強化月間である。わが国最初の孤独・孤立対策担当室の活動も、この頃には成果が出ていることだろう。期待したい。 (取材・文/白戸京子)

 

写真・時事通信

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