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新型コロナ「ワクチン接種現場」に密着…人口23万人に対し届いたのは485人分、50代は来年まで無理!
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.05.12 06:00 最終更新日:2021.05.12 06:00
5月7日夜の記者会見で、「1日100万回の接種を目指し、希望するすべての高齢者への2回のワクチン接種を7月末までに終わらせる」と宣言した菅義偉首相(72)。しかし、事態は思うように進んでいない。
「最初に届いたワクチンは、1箱でした。ほとんどの市区町村でそうだったと思います」と話すのは、埼玉県春日部市役所健康課・新型コロナウイルスワクチン接種担当の森田温美さん。
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厚生労働省は、ワクチンの供給見通しをホームページで発表している。4月5日から各都道府県に順次供給され始め、各市区町村への配分量は都道府県が決定し、4月26日の週にはすべての市区町村にワクチンが1箱ずつ供給された。その1箱が春日部市にとっても、初めて届いたワクチンとなったわけだ。
「1箱にワクチンが195本入っていて、1本で5回分なので975回分。1人に2回打つため、単純計算で487人分になります。
当初から供給量が少ないことは想定済みだったので、85歳以上の方への接種を考えていましたが、1箱では到底足りず、まずは90歳以上の方に接種することを決めました。それでも対象者は3500人いるので、485人に設定した予約枠は、またたく間に埋まりました」(森田さん、以下同)
春日部市では、5月3日より2会場で集団接種を実施した。本誌が取材した「イオンモール春日部」3階の会場では午前11時から開始され、とくに混乱もなく、14時半過ぎに70人が接種を終えた。
「椅子の間隔を空けることや、人の流れが交わらないように注意しました。ワクチン接種は看護師1人でおこなえる規定ですが、何かあったときのためにもう1人看護師をつけました。時間に余裕があったのも、よかったようです」
その後、春日部市には、追加の供給分11箱が到着。これで90歳以上の希望者には、ほぼ接種できるため、対象者を85歳以上に広げるという。
「さらに5月10日・17日の週に届く予定の40箱で、85歳以上の希望者の分は、ほぼ賄えます。ただ、国は7月末までに65歳以上の方の接種を完了すると言っていますが、この年代にあたる市内の人口は7万5000人で、とても間に合わないでしょう。また、いつ何箱届くのか、直前でないとわからないのも問題です」
都内クリニックで今週から接種を開始する松生恒夫院長は、「1日100万回といっても、供給量に加え、誰がどこで打つのかも問題なんです。今年中に打ち終わるか? 誰もスケジュールの予想はつきません」と漏らす。
40代~50代に届くのは、まだ先だ――。
(週刊FLASH 2021年5月25日号)