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救急医療が切り捨てられる!病院経営者が「救急ベッド3割減」を警告

社会・政治 投稿日:2021.06.03 16:00FLASH編集部

救急医療が切り捨てられる!病院経営者が「救急ベッド3割減」を警告

 

 病院経営の実際について、そして、国がどうやって病院をコントロールしているかについてお話しします。

 

 国が示す方向性のなかで今大きな転換期を迎えているのが、私の専門である救急医療です。

 

 私は2015年まで都内の大学病院の救命救急センターに勤めていましたが、地元の茨城に戻り、父の跡を継いで病院全体の経営を考える立場になると、病院の経営がいかに国の方針に左右されるかを身にしみて感じるようになりました。

 

 

 病院経営の視点から救急医療を見ると、私の病院のような一般病院の救急医療は、「採算が合わない」というのがいちばんの問題です。救急の患者さんをたくさん受け入れ、地域の救急医療を維持していこうとすればするほど病院経営は苦しくなるのです。

 

 そもそも、救急医療はとても手のかかる医療です。24時間365日対応できる人員体制を整えておかなければなりません。人工呼吸器のような高度な医療機器も必要です。

 

 使う頻度は少なくても、どうしても用意しておかなければならない緊急薬剤も数多くあります。また、それらには使用期限がありますから、古くなった薬剤はどんどん破棄しなければなりません。

 

 救急で受け入れた患者さんを入院させる、空きベッドの確保も必要です。そのわりに診療報酬は低いので、病院経営上、救急科は「不採算部門」といわれます。

 

 事実、このところ私の病院の周りでは、採算の取りにくい救急医療に見切りをつけ救急患者の受け入れを廃止する病院が目立ってきています。

 

 行政側が主催する救急医療に関する会議などに出席すると、行政の人から「地域のために、これからも救急医療を頑張ってください」と励まされます。

 

 そのたびに、「そうおっしゃいますが、こちらは救急車を受け入れるほどに経営が苦しくなります。経営的なメリットが少ないわりに背負うリスクは大きいのです。救急医療を頑張れとおっしゃるのなら、制度を根本から変えていただけませんか」。

 

 そんなことを訴えるのですが、医療制度というのはそう簡単には変わりません。それどころか、国は今、救急のような急性期医療、急性期よりもさらに診療密度の濃い医療を提供する高度急性期医療のベッドを減らそうとしています。

 

 2025年時点で、「高度急性期」と「急性期」のベッドを今の3割減、「慢性期」のベッドも2割減というのが国の目指す方向です。

 

「高度急性期」とは、急性期の患者さんに対して診療密度が特に高い医療を提供する機能のことです。救命救急センターや集中治療室などで行われる医療を指します。

 

「急性期」は高度急性期ほどではないものの、急性期の患者さんに対して医療を提供する機能。

 

「回復期」は急性期を過ぎた患者さんが在宅生活に戻れるように医療やリハビリテーションを提供する機能。

 

「慢性期」は長期にわたり療養が必要な患者さん、重度の障害者、筋ジストロフィーや難病などの患者さんを入院させる機能のことです。

 

 では、それらのベッドを減らしてどうするのか?

 

 これまで急性期用に使用していたベッドは、在宅復帰(病院を退院して自宅や施設に戻ること)を目指すリハビリテーションを行う回復期用に使用しなさい、慢性期用に使用していたベッドは介護施設や在宅医療などに転換しなさい。それが国からのメッセージです。

 

 その方向性を裏づけるように、2年に一度行われる診療報酬改定では、急性期のベッドの基準がどんどん厳しくなっています(診療報酬とは保険内で行われる医療行為に対して医療機関に支払われる料金のこと。保険診療のメニュー表のようなもの)。

 

 一方、在宅医療に対しては、診療報酬改定のたびに報酬が引き上げられています。率直にいって、在宅医療は病院経営上プラスに働くようにできているのです。

 

 その結果、救急医療の切り捨てに拍車がかかっています。

 

 実際、経営的なメリットを考え、すでに一部の病棟を急性期から回復期に切り替えた病院は少なくありませんし、病院から転換してクリニックと老健(介護老人保健施設)に鞍替えした医療法人も目立ちます。

 

 各地域の救急医療の一翼を担っていた病院が急性期の機能を手放せば、地域の救急医療は当然のように空洞化していきます。残念ながら、救急医療が破綻する地域はすでに出始めています。

 

 在宅医療が充実する一方、救急医療が手薄になる――私は救急科専門医の一人としてこの状況を非常に危惧しています。

 

 

 以上、小豆畑丈夫氏の新刊『在宅医療の真実』(光文社新書)をもとに再構成しました。在宅医療に関わる救急医が、その全貌を解説します。

 

●『在宅医療の真実』詳細はこちら

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