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知られざる「幽霊消防団員」…不正報酬がコンパニオン代になっていた

社会・政治 投稿日:2021.06.05 16:00FLASH編集部

知られざる「幽霊消防団員」…不正報酬がコンパニオン代になっていた

写真:AC

 

 近くで火災が起きると、様子を見に行ってしまったことは誰しもあるはずだ。火災現場では、消防職員や警察官だけでなく、地域の消防団員も火消しや交通整理などに追われている。

 

 火災はいつ起こるか分からないため、いつでも出動できるように団員は準備している。生活上の制約も多いため、精神的にも負担は大きいはずだ。

 

 

 その消防団で、公金を使った不正が広がっているという。

 

 あまり知られていないが、消防団員はボランティアではなく、特別職の地方公務員で給与も払われている。聞くところ、不正の仕組みは至って単純だ。ある関係者がこう話す。

 

「消防団を辞めようとしたんですけど、辞任届は出さなくてよいと言われまして。いわゆる『幽霊団員』なんです。幹部が地元の金融機関で、勝手に私の銀行口座を作ってきて、所属したままになっているので、報酬(給与)が都度出ています。

 

 他の団員に聞いたり調べたりしていくと、お金をプールして宴会の費用とかに使うためだと分かってきました」

 

 閑静な住宅街にたたずむ、東京都多摩地区の消防団の詰め所。詰め所は機庫とも呼ばれていて、消防団員らが災害時に現場に駆けつけるポンプ車やホースといった備品を始め、防火性の高い活動服や手袋など出動時に身につける防災品が保管されている。

 

 ある現役団員によると、ここは昼夜を問わず、団員たちが飲み食いしている現場だという。資金源になっているのは本来、消火活動や訓練に参加した際、分団員1人1人に支給される報酬(年間数万円)と手当(出動ごとに1回数千円)。

 

 もとをたどると、原資は公金だ。分団によってさまざまだが、この団では少なくとも幽霊消防団員1人あたり年間5万円以上の資金がプールされているそうだ。

 
 幽霊消防団員という言葉はあくまでも、消防団員らによってつくり出された造語で、明確な定義はない。取材において、定義づけは難しかったが、1年以上、長くて2年にわたって活動履歴がまったくないにもかかわらず、報酬などが支給されている団員のことを指すようにした。

 

 行政側でも定義は曖昧ながら幽霊団員の存在は認識があるようだった。活動実績が確認できなくても、行政機関の経理システム上では問題がないとして定額の報酬が支払われている。

 

 そのため、本人が退団の意志を分団幹部に示したとしても、システム上の手続きが取られていない場合は退団の手続きは完了したことになっていない。うやむやになったまま、報酬や出動手当が支給され続けているという信じがたいことが起きている。

 

 正式な退団手続きを分団が取らない理由の一つに、退団手続きを済ませると団の活動資金が減ってしまうという事情がある。退団者の発生は団にとっては不都合でしかない。

 

 気になるのは、本来個人口座に振り込まれるべき報酬や手当が支給されなくなると、なぜ分団が困ったり運営資金が減ってしまったりするのかという点だ。

 

 その理由は簡単で、個人に支給されていないからだ。行政手続き上は、個人に支給されたことになっているが、支給方法を分団に委任する形式を取ることで、自治体から個人に報酬・手当が行き渡っているかどうか実態が見えなくなっている。

 

 個人に支払うべき報酬や手当は消防団の活動資金となり、活動服や手袋などの備品に充てられているケースもあるが、不正が横行している分団では、その公金のほとんどが飲み会や慰安旅行の経費として使われている。

 

 実際、北信越地方で発生した火災の焼損範囲などを視察する研修会の見積書には、明確に「ご宴会費用 コンパニオン 単価1万6200円 120分」と記載されていた。見積書の表題「大規模火災視察」とまったくかけ離れた内容になっていた。1・2次会の飲み会、カラオケ代と合わせると約35万円にも及び、1泊2日の研修旅行費の約2割が宴会費で占められていた。

 

 不正請求のカラクリについて、取材をもとに東京消防庁の幹部に伝えてみると、「消防団との関係は信頼関係で成り立っている。記憶ベースによるいい加減な申請はないと思っているし、出された書類を信頼して手当を支払うしかない」と毅然とした態度で話す。

 

 ただ、幽霊消防団員や実際にその日の活動に参加していない団員の欄に架空の○印をつければ、いとも簡単に不正請求が可能になる。東京消防庁の幹部の言葉を借りるならば、「信頼」につけ込んだ水増しが起きているのだ――。

 

 

 以上、高橋祐貴氏の新刊『幽霊消防団員 日本のアンタッチャブル』(光文社新書)をもとに再構成しました。全国に広がる不正の実態を、若手新聞記者が初めて明かします。

 

●『幽霊消防団員』詳細はこちら

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