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都議選で自民苦戦も…菅首相の“メル友”美魔女候補がちゃっかり当選

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.07.09 06:00 最終更新日:2021.07.09 06:00

都議選で自民苦戦も…菅首相の“メル友”美魔女候補がちゃっかり当選

土屋美和氏のホームページより

 

「菅総理が肩入れしていた美魔女候補が当選しちゃったよ」

 

 こう語るのは、自民党・東京都連の関係者だ。

 

 7月4日に投開票された東京都議会議員選挙で、自民党は前回に比べ議席数を伸ばしたが、選挙協力していた公明党と合わせても過半数に届かず、「敗北」と受け止められている。しかし、菅義偉総理は一つ大きな“勝利”を手にしていたという。

 

 

 舞台となったのは、18人の候補者で争った世田谷選挙区だった。冒頭の「美魔女候補」とは定数8人内では最下位ながらも 2万2040票を獲得し、当選した自民党公認新人の土屋美和氏のこと。次点との差は、約2000票だった。

 

 都連関係者が思わず「当選しちゃった」とこぼしたのは、土屋氏が事前の当落予想では当選圏外にいたからだ。結果は自民党公認候補の3人めとして圏内にすべり込んだ。

 

 土屋氏は、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。オーストラリア、シンガポールで幼少期を過ごし、7歳で日本に帰国。中学、高校では再度、単身渡米しアメリカで過ごした。

 

 その後、日本に再帰国し、聖心女子大学を卒業後、時事通信の金融専門アナウンサーとして5年勤務、その後にニューヨークにある「三菱UFJセキュリティーズ(当時)」で 5年働いた国際派だ。一方で、おもてなし料理教室を主宰し、フードアナリストの資格を取得しているという。

 

 政界に足を踏み入れたのは2016年。自民党参議院比例代表候補のオープンエントリーに応募し、ファイナリストに選出された。その後は、元自民党幹事長の武部勤氏が代表理事を務める東亜総研の職員として働いた。
 この土屋氏に菅総理が肩入れしていたというが、どういうことなのか。前出の関係者が話す。

 

「土屋さんは2019年4月の神奈川県議会議員選挙の落下傘候補として、愛川町・清川村から出馬しました。菅官房長官(当時)や小泉進次郎議員、河野太郎議員らが応援に入りましたが、惜しくも落選した。
 県議選が終わった後、土屋さんが菅さんにお礼の挨拶に行った。その際に菅さんから『君の経歴だと愛川町、清川村のような田舎ではなく、都会のほうが合っているんじゃないか』とアドバイスされたそうです。それから菅さんとの交流が始まりました。自民党は女性議員を増やそうという目標を掲げていますし、土屋さんは経歴もいいし、美人。まだ40代と若いので、菅さんもゆくゆくは国会議員候補として、彼女のことを気に入ったのだと思います」

 

 この関係者によればその後、土屋氏は菅総理と直接メールなどで連絡を取り合える関係になったという。

 

「政治家を目指す彼女は菅さんにいろいろと相談したそうです。神奈川県議選の落選から、数カ月後におこなわれた参議院選の前には、菅さんから『参院選で東京の選挙状況を勉強してはどうか』という話があり、丸川珠代議員の選対で候補者付きとして丸川の選挙を手伝った。丸川事務所の関係者は、菅事務所から『使ってやってくれ』と頼まれた、と話していましたよ。
 その後、自民党二階派の門博文議員の秘書募集に応募し、私設秘書になりました」(同前)

 

 そして土屋氏は、今回の都議選での出馬を希望した。選挙区を探していたところ、ちょうど空きができたのが世田谷選挙区だったという。

 

「自民党の世田谷区選出の都議は3人いたが、大場康宣氏が2020年8月、ポスターを剥がした容疑で書類送検され、その後、公認取り消しとなったため、空きができていました。
 都連でも『世田谷区の3人めは女性を立てよう』と話していたところに、土屋氏が世田谷区の公認候補募集に応募したんです。彼女は知り合いも多い世田谷区からの出馬を希望していて、土屋氏と“メル友”だった菅さんからも、都連幹部に『土屋さんをよろしく頼む』という口添えがあったと聞いています」

 

 その後、土屋氏は公認選定の試験、面接を経て2021年2月に公認候補となった。別の自民党都連関係者は明かす。

 

「公認候補に決まる前から、菅事務所の政策秘書が土屋さんの相談に乗っていましたし、いろいろと世話を焼いていましたよ。また、菅さんとの関係が深いなあと感心したのは、候補者選定の面接で、彼女が話した内容を聞いたときですね。
『今回の件で誰か相談している人はいますか?』と聞かれた土屋さんは『上司である門(博文)先生と菅総理には相談しました』と答えたそうですからね」

 

 だが、前回は小池百合子都知事率いる「都民ファーストの会」に大差で敗れ、今回も新型コロナ対策などで“逆風”が吹いていた都議選。菅事務所が無名の新人候補を支援するも、選挙前の予測では当選はおぼつかないとされていた。

 

「土屋さんの選対には都連の人間もいましたが、実質的には菅事務所が裏側で仕切るという、強力なサポート体制だったんです。首相の政策秘書が都議選の無名の新人候補の選挙に関わるなんて、ほとんど聞いたことがないですけどね。
 また、菅総理が首相就任翌日に会食するほど親しい選挙プランナーの三浦博史氏も土屋氏の選対に関わっていたと聞きました。土屋さんにアドバイスをしていたようです。

 

 しかし、あまりにも積極的に介入しすぎて『こんなやり方、神奈川ではしないよ』と話す、菅事務所と都連の間で軋轢もありましたね……」(同前)

 

 菅事務所のサポートが功を奏し、土屋氏は晴れて都議となった。都議選を取材した記者はこう話す。

 

「事前の票読みでは、土屋氏の得票は1万5000票くらいだろうと見られていた。当選ラインは2万票前後の予想でしたから、それでは足りないわけです。その後、実際には7000票上積みされたことになる。
 興味深いのが、前回の都議選で世田谷選挙区は、公明党の票が約4万2000票あったのが、今回は3万2000票と約1万票減っています。確証はありませんが、公明党から相当数の票が土屋氏に回されたのではないかとみる向きもあります。

 

 もしこの流れが存在したとすれば、この芸当は菅さんにしかできないでしょうね」

 

 総理の「積極的な政策」は、国全体にも発揮してほしいものだが……。

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