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焦る菅総理vs.安倍氏操る “ハリボテ” 高市早苗…二階氏が高笑いする総裁選 “小物バトル”
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.08.19 06:00 最終更新日:2021.08.19 06:00
《今の体制のままでは、総選挙に勝つのが厳しいとの声。だから、その前に総裁選挙をする》
ある国会議員が作成したとされる政局メモが、自民党内に出回っている。テーマは、衆院議員が任期を満了する10月21日を控え、自民党の総裁選をいつおこなうべきか。メモには複数の想定が書かれている。
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9月5日のパラリンピック閉会後、すぐに衆院を解散するパターン(1)。コロナウイルス感染が拡大することを考慮し、任期満了日に自動解散となるパターン(2)。この場合は、いずれも総裁選は総選挙後ということになる。そして、冒頭に挙げたのがパターン(3)だ。メモはこう続く。
《3A+2Fのバックがあれば、(菅首相は総裁選で)圧勝で再選ができる。総裁に対抗すべきでないとの圧力。
無投票、圧勝で総裁が決まって総選挙。しかし、党員や国民は甘くない。
→国民の声。大惨敗?》
“3A” の呼称は、安倍晋三前首相(66)、甘利明党税調会長(71)、麻生太郎副総理(80)の頭文字。“2F” とは、二階俊博幹事長(82)の名字にちなむ。
このパターン(3)は、直近の支持率が29%(NHK世論調査)まで低下した菅義偉首相(72)が、なんとか延命を図るための策だ。政治ジャーナリストの伊藤惇夫氏が語る。
「菅首相は、コロナ対策で失敗し、次のシナリオを描けていないのでしょう。広島市や長崎市の原爆忌での挨拶の読み飛ばしや、遅刻を見ても、心ここにあらずで焦りを感じます」
そんななか、8月10日に発売された「文藝春秋」9月号の早刷りが、自民党内で回し読みされる事態となった。
「高市早苗衆院議員(60)が、同誌で『発する言葉からは自信も力強さも伝わらなくなった』と菅首相を批判し、自民党総裁選への出馬を表明したのです」(全国紙政治部デスク)
高市氏は文中で「基本路線は『ニュー・アベノミクス』」と公言しており、その背後に安倍前首相の存在が囁かれた。伊藤氏が推測する。
「高市氏の出馬宣言は、たんに個人のパフォーマンスとも言い切れません。高市氏が、立候補の届け出に必要な20人の国会議員の推薦を『自分にも集められそうだ』と考えたのは、安倍氏が『あなたには可能性がある』と匂わせたからでしょう。高市氏はこれまで安倍政権でひたすら安倍氏にゴマをすってきた人間ですから、となると……」
高市氏が安倍氏を後ろ盾にした “ハリボテ” であることを示唆するのだ。自民党内の中堅議員が、安倍氏のこんな狙いを語った。
「安倍さんは自民党のキングメーカーとして君臨したいのです。そのためには、年内にも安倍さんが派閥会長として復帰する所属派閥の清和会が、党内最大派閥であることが重要なんです。だから、派閥の分裂要因になる総裁候補を清和会の中には持ちたくなく、今回は菅さんを支持するしかないのです。
ただ、派内の中堅や若手は菅さんに不満が強い。そのため、無派閥の高市さんを総裁選に立候補させることで、清和会からは候補を出さずに総裁選をおこなわせ、ガス抜きする目的があるのでしょう」
だが、高市議員の記事は、自民党内に安倍氏の狙いとは正反対のインパクトも与えた。
「高市氏が出るなら、清和会から下村博文政調会長(67)や、稲田朋美前幹事長代行(62)も総裁選に出ないわけにいかなくなるでしょう。そうなると、野田聖子幹事長代行(60)、茂木敏充外相(65)、加藤勝信官房長官(65)、石破茂元幹事長(64)、岸田文雄元外相(64)らも黙ってはいない。総裁選への候補者乱立を誘発する可能性があります」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)