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青森発の健康革命「世界に新しい健康診断を売り込め!」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2017.03.21 06:00 最終更新日:2017.03.21 06:00

青森発の健康革命「世界に新しい健康診断を売り込め!」

 

 弘前大学COIが研究を行っている「健康ビッグデータ」では、のべ2万人以上の600項目を超える健診データが12年分蓄積されている。

 

 世界に先駆けた試みが評価され、2013年には文部科学省が推進する「革新的イノベーション創出プログラム(COI)」に選出された。

 

 それが大きな契機となり、さまざまな企業が共同研究に手を挙げている。たとえばイオンは、青森県と包括協定を結び、イオンモールで健康増進プログラムを開始。

 

 ヘルシアなど特定保健用食品を手掛ける花王は「スマート和食」の開発に乗り出した。美味しい食事をとりながら、内臓脂肪を減少させる料理の啓発教育に取り組んでいる。

 

 料理研究家が監修した高血圧予防のレシピをサイトで公開しているのは楽天だ。減塩などに着目した料理コンテストも開催し、厳選されたメニューが書籍としてまとめられた。

 

「健康ビッグデータ」を基に、弘前大学COIが開発を進めているのが、新たな健康チェック・教育プログラム、いわゆる新型(啓発型)健診だ。同大の村下公一教授が言う。

 

「今までの健康診断は、主に病気かそうでないかを調べるものでした。でも、この新型健診では健康でいるためのヒントを得られます。『メタボリックシンドローム』『口腔保健』『ロコモティブシンドローム(加齢による運動器の衰え)』『うつ病・認知症』という4つの重要なテーマについてしっかり診ることができるのです」

 

 その新型健診では、検査結果のほとんどを当日中に本人に伝える。せっかく検査を受けても、時間がたってから「要再検査」と書かれた手紙が届いては、病院に行こうという気には、なかなかならない。しかし、検査直後に医師から「なるべく早く〇〇科で再検査を受けるように」と告げられれば、通院の大きなきっかけになる。

 

「短命県」青森では、「要再検査」の通知を受け取っても、自己判断で「きっと大丈夫だろう」とやり過ごしてしまい、病状が進んでしまう人が多かった。新型健診では、そうした問題点に対し積極的にアプローチできる。

 

「活用は日本国内だけにとどまりません。新型健診が確立したら、アジアなど平均寿命が短い国へパッケージで販売することも考えています。短命県だからこそ始まった研究ですが、世界展開が実現化するところまで来ているのです」(村下教授)

 

 平均寿命が短い国では寿命を長くすることが重視される。一方、すでに長寿を実現した日本では、寿命を伸ばすこと以上に、病気にならずに生活できる「健康寿命」を伸ばす研究が進められている。

 

 今後、世界的に病気予防の市場が拡大するとみられるが、青森発の取り組みが世界のヘルスケアを変えていく日も間近だ。

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