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日本学生支援機構“10億円過払い返済”で見えた悪質取り立ての実態「真実は『学生向け高利貸機構』」「奨学金という通称がおかしい」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.06.03 19:40 最終更新日:2022.06.03 19:40
6月2日、日本学生支援機構は、奨学金の返済をめぐり、支払い義務である半額を超える返済をしてきた保証人約2000人に対して、過払い分として計約10億円を返金する方針を明らかにした。
5月19日、札幌高裁は、半額の支払い義務しかない保証人2人に全額を請求した日本学生支援機構に対して、過払い分と利息の計約200万円の支払いを命じていた。機構は、今後の保証人への請求も半額に改めるという。
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「問題は、日本学生支援機構が、2人の保証人から半額ずつ返済を受けるべきところを、1人から全額の返済を受けていたことにあります。保証人が複数いる場合、各保証人が返済義務を等分に負うとされる民法上の『分別の利益』があります。ところが、日本学生支援機構はこれを保証人に告げず、全額請求していたのです。
5月19日の札幌高裁判決は、日本学生支援機構に対して、不当利得と知りえた民法上の『悪意の受益者』にあたる、と厳しく指摘しています」(社会部記者)
日本学生支援機構の悪質な取り立てが明るみに出ると、SNSでは、批判が渦巻いた。
《そもそも「学生支援機構」なんて名称からしておかしいだろ。「学生向け高利貸機構」というのが真実の姿だ》
《名称を変えて「学資ローン」と、はっきり「借金」であることを明確にすべき》
《海外での奨学金は優秀な生徒に返済不要。日本の奨学金制度は他国の制度と違い、単なる消費者金融と殆ど変わらない。本質は高利率の学生支援融資という名の大借金、高利貸教育ローン。奨学金という通称がおかしいと思う》
6月1日には、岸田文雄首相が、大学生らの貸与型奨学金について、月々の返還額を減らせる制度の対象者を拡大する考えを、衆院予算委員会で示している。これを機会に、「奨学金」の名に値する制度にしてほしいものだ。
( SmartFLASH )