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プーチン大統領、日本出資のガス田を “強奪” …岸田首相お膝元の広島ガスが大ピンチの皮肉
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.07.02 19:20 最終更新日:2022.07.02 19:23
6月30日、ロシアのプーチン大統領が、日本の商社が出資する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の権利を、ロシアの新会社に「無料で」引き渡すよう命じる大統領令に署名した。
「サハリン2」は、北海道の北、ロシアのサハリン州で進められているプロジェクトで、三井物産が12.5%、三菱商事が10%の権益を保有している。
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「都市ガスの原料になる液化天然ガス(LNG)ですが、日本が輸入しているLNGのうち、約9%がサハリン2からのものです。数年前からLNGは世界的に不足し、価格が高騰していましたが、ウクライナ危機により、さらに深刻化しています。
三井物産や三菱商事は、権利を新会社に譲渡したあと、その会社の株式取得についてロシアと協議することになりますが、今の出資比率を維持できるかはわかりません。最悪の場合、出資もできず、LNGの調達契約も打ち切られることになります。それは “強奪” と言っても過言ではないでしょう。
日本が、代替のLNGを確保できるがどうかは不透明で、仮にできたとしても、数兆円規模の追加負担が見込まれます。今後、電気料金やガス料金への影響が懸念されています」(経済部記者)
ロシアによる暴挙としか言いようがないが、ネットでも怒りの声が渦巻いている。「2ちゃんねる」開設者で実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏は、
《技術だけ取られて追い出されるという中国が民間でやる話を、大統領がやる国。「話し合いで北方領土が返ってくる」と、言っていた人がどれくらい頭が悪いのかが、お分かりいただけますかね?》
と、自身のTwitterに投稿した。
この件に関し、岸田文雄首相は7月1日に「すぐにLNGが止まるものではない。大統領令に基づき、契約内容でどのようなものを求められるか注視しなければならない」と発言。
これについても、
《この国の舵取りを担うべき人間が、他人事のように一般論しか言えないという悲劇。「決断と実行」が聞いて呆れる》
《じっくり注視し、じっくり聞いて、じっくり検討し、ゆっくり決断し、先送りを実行》
と、ネットには厳しいコメントが並んだ。
だが、仮に「サハリン2」からのLNG供給が止まれば、その影響をモロに受けるのが、岸田首相の選挙区の広島だという。
「サハリン2のLNGは国内の電力・ガス会社の多くが調達していますが、なかでも広島ガスは調達量の約5割を占めています。ウクライナ危機以来、サハリン2への高い依存度が危惧されていましたが、広島ガスは日本政府の方針にのっとり、ロシアからの調達を続けていたのです」(同)
4月4日には、広島ガス・松藤研介社長が「エネルギー安全保障上の観点から、当社は当面はサハリンからのLNG調達を継続する」と発表、政府の方針が変わらない限り、現状を維持する姿勢を明らかにしていた。
広島ガスでは、ほかの契約先から調達を増やすなどの対策を取る見込みだが、事態は深刻だ。首相のお膝元が大ピンチ――なんとも皮肉な話ではないか。
( SmartFLASH )