「安倍総理、ありがとう!」
7月12日の安倍晋三元首相(享年67)の葬儀では、沿道の人々から感謝と別れの声のほか、おびただしい数のスマートホンが向けられた。
「歴史に参加している高揚感があったのでしょうね」
宗教学者の島田裕巳氏が語る。その“高揚感”は、吉田茂元首相以来、戦後2度めとなる国葬の開催を決断した岸田文雄首相(64)にもあったらしい。「インサイドライン」編集長の歳川隆雄氏が語る。
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「参院選の翌日には、岸田首相は、国葬の開催を決めていました。敗戦によって、国葬をおこなう法的な根拠となる国葬令は失効していましたが、首相が特に命じて、2001年に施行された内閣府設置法を見つけさせたのです」
大手広告代理店の関係者もこう言う。
「当社は、急遽国葬についての賛否の意識調査のアンケートをおこないました。30代から50代までは一定数の反対意見があったのですが、若い世代、特に20歳以下のほとんどが開催に賛成でした」
9月27日の国葬に向けて順調に事が運んでいるようにみえるが、吉田元首相のときは、「企業や国民は自粛や服喪を求められた」。今回はどう対応するのか。国葬の影響を大きく受けると考えられる企業などに聞いた。
「現時点で対応予定はございません」(東京駅を管轄するJR東日本)
「現時点で決まっているものはございません」(日本最多のスクリーン数を持つイオンシネマ)
「現段階で決まっていることはございません」(NHK、テレビ朝日、フジテレビ、日本テレビ、TBSも同様の回答)
「9月27日は営業する予定です」(国葬会場から距離約1kmの遊園地「東京ドームシティアトラクションズ」)
「国葬についての正式な情報がなく、現時点では何も決まっておりません」(元首相が1979年から3年半勤務した神戸製鋼所)
「現状は、特にまだ話は出ておりません。対応が決まりましたら、発信いたします」(元首相が小中高大と過ごした成蹊学園)
「国葬に合わせて店を閉める予定はありません」(元首相の自宅から近い富ヶ谷の飲食店)
国葬に向け、特別な対応を取るとの回答は現状ゼロ。政府も、国葬当日は休日にせず喪に服すことも求めない方針だ。ではなんのために―ー。
“異形の国葬”まで、あと2カ月。