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【北九州母娘刺傷事件】驚愕!「待ち合わせができない」子どもたち…「位置情報共有アプリ」で事件は起きた

社会・政治 投稿日:2022.08.24 06:00FLASH編集部

【北九州母娘刺傷事件】驚愕!「待ち合わせができない」子どもたち…「位置情報共有アプリ」で事件は起きた

 

「SNSを通じて知り合った」

 

 ここ数年の“凶行”で、何度も耳にした言葉だ。8月13日、福岡県北九州市で高校1年生の少女と母親が、自宅で待ち伏せをしていた男に刺され、重傷を負う殺人未遂事件が発生した。少女は犯人について「ネットで繋がった県外に住む知人」と話しているという。

 

 警察は事件同日に現場近くで列車にはねられ死亡した17歳少年と、事件現場に残された男のDNA型が一致したと発表。この少年が犯行に及んだとみて、捜査を続けている。

 

 

「少年は東京都葛飾区に住んでいましたが、8月8日に家族から行方不明届が出されていました。被害者少女とは『位置情報共有アプリ』で繋がっており、そこから少女の自宅を特定し、待ち伏せていたとみられています」(社会部記者)

 

 まったく耳なれない「位置情報共有アプリ」だが、いま巷の中高生のほとんどが「Zenly」というアプリをスマホにインストールしているという。若年層のアプリ事情に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏が解説する。

 

「Zenlyは“友達”として繋がっている知人の現在地や滞在時間などをマップ上で確認することができるアプリです。2015年にフランスで開発されたあと、2018年ごろに日本に上陸し、中高生を中心に爆発的な人気を誇っています。SNS上だけの繋がりの他人とも、アカウントIDをもとに位置情報を共有する友達になることが可能です」

 

 実際に本誌記者が東京・原宿で取材をすると、10代の男女30人中22人がZenlyを使用していると答えた。井上氏はこう話す。

 

「いまの子供たちは待ち合わせをするとき、明確に場所を指定しません。“言いだしっぺ”の責任感に耐えられないのか、『○○らへんで』と非常に曖昧な約束をして、近くまで行ったら、あとはZenly上に表示される友達の位置情報を頼りに“集合”するのです。

 

“東京ドーム何個ぶん”といった広さの巨大ショッピングモールが中高生の“遊び場”になる郊外や地方都市でも、ひと目で友達のモール内での居場所がわかるZenlyは、非常に役立つために浸透しているんです」

 

 愛知県在住で、夏休みに原宿に遊びに来ていた17歳の女子高生はZenlyについて、嬉々としてこう話した。

 

「高校生になったときにみんな使っているので始めました。友達と遊ぶときは時間と場所を決めたら、あとはアプリで落ち合います。私は50人くらい“Zenly友達”がいて、SNSで知り合った人もいますよ。その人たちとは実際には会ったことはないけど、それが当たり前なので他人に位置情報がバレてるとかそういうのは考えたこともないです。友達の位置情報を見て、近くにいたら遊びに誘ったりもしています」

 

 大人からすれば、いくらでも悪用の可能性が思い浮かぶが、中高生の“狭いコミュニティ”では、そうしたトラブルも顕在化しにくいのかもしれない。現在、高校生の子供を持つ母親は「もう彼らには当たり前のツールですよ……」と言う。

 

「私の子供も中学生のころから利用していて『遊ぶときに便利だ』くらいの考えで、自分の居場所が他人にバレていることへの恐怖感や嫌悪感はまったくないです。学校内でも事件やトラブルに巻き込まれたという話は聞いたことはないですが、進級するにしたがって、だんだんとコミュニティが広がっていくと、事件に巻き込まれる可能性があるんじゃないかと心配しています」

 

 アプリを中高時から利用してきた20歳の女子大生はつい最近、Zenlyで“危険なトラブル”に遭遇したという。

 

「19歳のときから、大学の同級生とつき合っていて、今年2月に別れました。電話で別れ話を切り出したら、カレには教えていなかった都内の実家マンションにまで来たんです。私も中学のときからZenlyを使っていたし、カレも使っていたので私の位置情報を調べて押しかけてきたんです。でも、部屋番号まではわからないから9階建てマンションの全部屋の呼び鈴を鳴らして、私の家を見つけ出そうとしました。その体験がとても怖くて、カレとの連絡を断つと同時に、Zenlyもスマホから削除しました」

 

 人類の叡智で進化してきた「地図」。その便利さに気を取られ、Z世代はアプリに潜む「闇」にまだ気づいていないようだ。

( 週刊FLASH 2022年9月6日号 )

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