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西九州新幹線が「ポツンと開業」佐賀県の反対でルートいまだに決まらず、早くも「無用の長物」呼ばわり
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.09.23 15:55 最終更新日:2022.09.23 15:57
9月23日、西九州新幹線が開業した。佐賀県・武雄温泉駅と長崎駅を結ぶ全長66kmの路線で、新幹線としては最短の距離。地元では観光活性化などの期待も高まるが、ネット上では
《西九州新幹線マジでいらん どう考えてもいらない 誰が得するんだこんなもん》
《福岡から長崎まで新幹線でノンストップでつながらないと意味が無いですよね》
《佐賀県ともめてるから全開通にならなかったのが残念》
と、さんざんな言われようだ。
「酷評されている最大の理由は、ほかの新幹線とつながっていない『ポツンと開業』状態なことです。九州には、博多駅と鹿児島中央駅を結ぶ九州新幹線がありますが、西九州新幹線はこれに接続していません。なので、長崎から博多に行くには、新幹線で武雄温泉駅まで行き、そこで在来線特急に乗り換える必要があります。
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博多~長崎間の直通在来線特急の乗車時間は1時間50分でしたが、西九州新幹線の誕生で30分短縮されました。しかし、わざわざ30分の短縮ために乗り換えるなら、乗り換えなしのほうがいいという人もいます。西九州新幹線開業に伴い、博多~長崎間の直通の特急は廃止となったので、不便さを感じる人も多いのでは」(社会部記者)
博多~長崎間の在来線特急料金(自由席)は、2022年3月まで4270円だったが、2022年4月からは5060円に。そして今回、西九州新幹線経由での料金は5520円となった。わずか半年で、約30%の値上げとなったことになる。高速バスを使えば、長崎~博多は約2時間半かかるが、運賃が2900円の会社もある。
SNSでも
《高速バスで博多―長崎2,900円で2時間半かけるか、特急と新幹線乗り継ぎ1時間半で5,520円を取るか微妙なところ…1時間が惜しければ特急と新幹線使うかなって感じ》
《正直博多~長崎の特急の客は高速バスに移るかと》
という意見が、いくつもある。しかし、西九州新幹線はなぜ九州新幹線と接続しないのだろうか。
「佐賀県が反対しているためです。当初の計画では、九州新幹線の新鳥栖駅で接続し、長崎~博多間は直通になる予定で、今回の開業はあくまで『部分開業』なのです。しかし、佐賀県が反対の姿勢を示しているため、着工はおろか、ルートさえも決まっていないのが現状です」(前出・社会部記者)
なぜ、佐賀県は反対しているのか。
「まずは費用。新幹線建設で、佐賀県の負担は約800億円といわれています。費用対効果として、それだけのメリットが見込めないという考えなのです。また佐賀県サイドには、所要時間短縮というメリットもほとんどありません。さらに新幹線ができれば、在来線特急が廃止、あるいは減便となり、利便性はむしろ低くなります。
よそから見れば、博多と直通で行ければ便利なのはたしかですが、地元目線での『いらない』という気持ちも、わからなくはありません」(前出・社会部記者)
新鳥栖~武雄温泉間の未整備区間は、約50km。着工のメドはまったく立っていない。すでに《無用の長物》と揶揄する声もネットにはあるが、それも仕方ないのでは――。
( SmartFLASH )