11月2日、山口県がトヨタ・センチュリーを公用車として2090万円で購入したことを違法とする判決が、山口地裁で出された。
元県職員が、村岡嗣政知事に全額を県に返還するよう求めた住民訴訟で、裁判長は全額の賠償を知事に請求するよう県に命じた。
山口県では、公用車としてセンチュリー3台を保有していたが、2020年度にうち2台を下取りに出し、新車のセンチュリーを2090万円で購入した。下取りに出したセンチュリーは2002年度、2007年度に購入したもので、下取り価格は約30万円だった。
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2020年度に購入したセンチュリーには、後部座席にマッサージ機能が搭載され、スピーカーが20個もついたニューモデル。2090万円は、都道府県の公用車としては徳島県が2020年に購入したセンチュリーの2130万円に次いで高額だという。
山口県が所有する2台のセンチュリーは、皇族や外国要人を乗せる貴賓車として運用されているが、2020年度以降、貴賓車として利用したのは6日間、皇族利用は2日間のみだった。日常的には、県議会の議長や副議長用の公用車として利用されている。
庶民感覚とのあまりのズレに、SNSではあきれる声、怒りの声があふれている。
《他の県で使ってるからという画一化的な発想が首長にあるのがおかしい、税金でしょうこれ》
《公金でメシ食ってる上級人たちは金銭感覚がマヒしとる》
《貴賓車が必要との意見も分からないではないが、ほとんど使わぬものに巨額の公金(税金)を使うというのは問題。周辺の県で共有の一台を用意すれば済むことではないのか?》
かつての「公用車=センチュリー」というイメージも、近年は大きく変化している。東京都知事の公用車はトヨタ・アルファードHVで、月額14万8000円のリース契約。神奈川県は日産自動車の本社があることから日産・シーマを購入している。
2020年10月の「朝日新聞」の調査では、もっとも多かったのはトヨタ・アルファードで19都道府県。次いでトヨタ・ヴェルファイアで7府県。センチュリー、トヨタ・レクサスがそれぞれ4県という結果だった。現在の主流はミニバン型だ。また、購入ではなくリース契約にする自治体も多くなっている。
自治体の公用車をめぐっては、2020年、兵庫県のセンチュリーの年間約300万円というリース料が高額だとして批判が相次ぎ、アルファードに変更されたことがある。長野県も同様に批判を受け、2020年にセンチュリー1台をオークションサイトで売却している。
2090万円の請求命令を受けた村岡知事は、控訴について「判決を精査し、弁護士と相談して判断したい」としている。たった6日間のために、2000万円以上をつぎ込む発想は、とても庶民からは支持を得られない発想だが……。
( SmartFLASH )