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コロナの打撃を受けた「相席屋」の経営がV字回復したワケ…若者のマッチングアプリ離れが背景に

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.11.04 06:00 最終更新日:2022.11.04 06:00

コロナの打撃を受けた「相席屋」の経営がV字回復したワケ…若者のマッチングアプリ離れが背景に

相席屋「ソロ活店舗」

 

 10月下旬、入店条件「未婚・または恋人等パートナーがいない」を図らずもクリアした20代女性記者が、THE SINGLE恵比寿店へーー。

 

 アプリで入店予約してからお店を訪ねると、店内の13室はすべて満室の繁盛ぶり。飲み放題のドリンクは、QRコードから注文するスタイルだ。

 

 着席から5分、スタッフに案内された男性が入室し、相席に。20代の男性は、ふだん新宿の店舗を利用しているが、今日は気分を変えて恵比寿店に来たという。「今までに、ここで出会った女性と後日デートをしたことがある」と、嬉しそうに話していた。

 

 

 設定された20分は、初対面の人と話すにはちょうどいい長さ。その日は計3人の男性と相席することができた。マッチングアプリに比べると、店に行けば出会いがある点は非常に効率がいい。しかも、LINEや携帯番号を尋ねなくても、アプリ上でメッセージのやり取りができるのは、安心感があっていいですね!

 

「コロナ禍に入った当初は、 “自粛警察” の方から『初対面同士の人が出会うような店なのに何を考えているんだ』と、ご意見をいただくこともありましたね」

 

 当時を振り返るのは「相席屋」を運営する株式会社セクションエイト専務取締役の太田光則氏だ。

 

 文字どおり、男女が “相席” することを目的とした飲食店「相席屋」が登場したのは、2014年のこと。その6年後、新型コロナウイルス襲来によって、相席どころか他人との対面が難しい状況になってしまった。もちろん相席屋が受けた影響も大きかった。全国展開していた店舗の半数近くを閉めざるを得ない状況だったという。

 

「2020年の初頭はさんざんでした。地方は特に感染への警戒心が強く、お客様が来ませんでしたし、大阪などでも実家住まいの若者が多かったので、感染リスクを警戒している雰囲気があったんです。客数でいうと、コロナ禍前の2019年に比べて20~30%しか入らない状態になり、2021年でやっと60~70%まで回復しました」(太田氏、以下同)

 

 新規感染者数は高止まりのままだが、政府や自治体が実施する「全国旅行支援」や「GoToイート」で、レジャー活動が活発化。最近では “日常” が戻りつつある。相席屋の客足も2019年に比べると、90%近く戻ったという。

 

「ありがたいことにV字回復してきまして、売り上げも2021年に比べると2倍近くになっています。でも、これは相席屋が復活したというよりも、コロナ禍での新業態が受け入れられた結果です。2020年3月から『THE SINGLE』という “ソロ活店舗” を造ったんです」

 

 一人カラオケ、一人焼き肉……といった専門店が有名になってきたソロ活市場。それが、これまで2人以上で行くイメージだった相席屋にも変化をもたらした。

 

 THE SINGLEは従来の相席屋と違って、用意されているのは1対1専用の個室だけだ。そして、利用する際は事前にアプリで会員登録をしなければならない。

 

「特徴的なのが、相席が終わるとアプリ上で相手を1点~5点で評価するんです。1点が2回連続でつくと、いわゆる “出禁” になるので注意が必要です。また、相席したその場での連絡先の交換は禁止です。その代わり、1週間限定で相席相手とアプリ内のメッセージで連絡を取リ合うことができます。こうしたことで女性のお客様にも “ハードル” が低くなっていると思います」

 

■コロナ禍を経て合コンから街コンへ

 

 相席屋といえば、女性客は無料というのが有名だ。そのため、食べ飲み放題を目当てに来ているのでは……と、ついつい邪推してしまう男性も多かっただろう。

 

「女性客が無料で、男性客が料金を支払うシステムはそのままですが、THE SINGLEの場合、20分2200円で、飲み物しか提供していません。そして20分で、強制的に相席が終了します。なので、女性側も真剣度が高いんです。 “合コン” よりは “街コン” に近いイメージかもしれません。コロナ禍前、弊社は男性のお客様が多かったのですが、今は半々くらい。女性にもこの1対1という形が受け入れられている実感があります」

 

 太田氏は流行の機微をキャッチできたことが、好調の背景にあると考えている。

 

「一時期、マッチングアプリが流行りましたが、現在のトレンドでいうと『マッチングアプリ疲れ』がきているんです。マッチングアプリだと、女性側には何百件とメッセージが来るし、男性側はどんなにやり取りしても、月に1人会えたらいいぐらい。その徒労を感じている若者は多いですし、コロナ禍の “失った3年間” をリアルな場で取り戻そうという若いお客様は増えていると思います。『相席屋は女性が無料』ということを知らないお客様も増えていたのが意外でした」

 

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写真・福田ヨシツグ(太田氏)、セクションエイト提供

( 週刊FLASH 2022年11月15日号 )

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