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クールジャパン機構「アニメ・和食の海外展開支援」のはずが赤字300億円超「国が旗振ったところでみんな引く」の冷めた声

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.11.23 20:00 最終更新日:2022.11.23 20:03

クールジャパン機構「アニメ・和食の海外展開支援」のはずが赤字300億円超「国が旗振ったところでみんな引く」の冷めた声

「クールジャパン機構」は六本木ヒルズ森タワー17階という“超一等地”にオフィスを構える

 

 政府の肝いりファンド「クールジャパン機構(CJ機構)」が危機に瀕している。累積赤字が309億円に膨らんでおり、廃止の可能性もあるというのだ。

 

 11月22日に開かれた財務省の審議会で、経済産業省はCJ機構の改善計画を示し、2025年度には収支を黒字転換させるとした。しかし、審議会の委員からは「成果が上がらなければ、廃止か統合するしかない」など、厳しい意見が出たという。

 

 

 CJ機構は、国と民間企業が出資してきた官民ファンドのひとつで、日本のアニメや日本食の海外展開支援を目的として、2013年に設立された。国の主導によって、これまで56の案件に対し、総額1309億円を投資してきたものの(2022年11月現在)、そのほとんどが失敗したとされている。

 

 その失敗例のひとつが、マレーシアの首都、クアラルンプールの百貨店「ISETAN The Japan Store」だ。CJ機構が約9億7000万円(49%)、三越伊勢丹ホールディングスの現地子会社が10億1000万円(51%)を出資し、2016年にオープンしたものの、売り上げは伸びず赤字が拡大。開業からわずか1年半後には、CJ機構がすべての株式を売却し、撤退する事態となった。苦戦した理由は、現地の物価とは大きくかけ離れた価格設定や、品ぞろえとみられる。株式の売却額は不明だが「出資額の半額程度」との報道もある。

 

 また、映像コンテンツの海外展開のため、アニメ配信会社「アニメコンソーシアムジャパン」や衛星放送会社「WAKUWAKU JAPAN」などに投資をおこなったものの、「Netflix」などに押され、失敗。多額の損失を出している。

 

 SNSには

 

《結局流行りを作るのは消費者だからね。国が上に立って旗振ったとこで逆にみんな引いてしまう。あくまでもサポート的役割だけでよかったんだよ》

 

《「クールジャパン」などという、かっこ悪さの煮凝りみたいなネーミングを通してしまうキャリア官僚や政府内閣がコンテンツ事業で成功できるわけがなかろう》

 

《民間でここまで無計画に赤字出したらクビどころの話じゃないですよ》

 

など、批判する声が多数ある。

 

「2021年、内閣府の規制改革・行革担当大臣直轄チームが作成したレポートによれば、CJ機構の役員ひとり当たりの人件費は年間1325万円。オフィスは六本木ヒルズにあり、ひとり当たりの家賃は292万円となっています。投資の失敗だけでなく、こうした金銭感覚が赤字をより一層大きなものにした、という指摘もあります」(週刊誌記者)

 

 赤字が問題となっている官民ファンドはCJ機構だけではない。「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」は145億円、「海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)」は112億円、農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)」は141億円と、それぞれ100億円超の累積赤字を抱えている。CJ機構の309億円を合わせると、4つの官民ファンドで累計赤字は707億円にもなる(2022年3月時点)。

 

 あまりに“クール”じゃない話に、頭がクラクラする……。

( SmartFLASH )

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