11月24日、岸田文雄首相は参院厚労委員会で、自民党の杉田水脈総務政務官がLGBTなど性的少数者のカップルは「生産性がない」と月刊誌に寄稿したことに関し、「過去の発言は政治家本人が自身の責任でていねいに説明すべきものだ。政府方針を胸に職責を果たしてほしい」と述べた。
立憲民主党の高木真理氏が、杉田氏が「発言を撤回していない」として更迭を求めたことに対し、これを否定したうえで「すべての人々が生きがいを感じられる社会の実現を目指している」と強調した。
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岸田首相の「ていねいに説明すべきだ」という発言に、SNSでは批判の声が巻き起こった。
《これだけ日数が経っても、本人はろくに説明できてないんだが》
《岸田首相は杉田氏がまだ非難されている理由を分かっているの? 彼女は未だに「撤回」も謝罪の「言葉」も巧妙に言い逃れているんですよ》
《今、岸田文雄の「丁寧な」の言葉ほど軽いものは他になにがある?》
たしかに岸田首相は、党や閣僚に疑惑が生じた際、「ていねいな説明」や「説明責任」という発言を繰り返してきた。
たとえば7月31日には、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党議員との結び付きが指摘されていることに関し、岸田首相はこう述べた。
「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれていねいに説明していくことは大事だと思っています。それぞれ、さまざまな説明をおこなっているようですが、国民のみなさんの関心も高いわけですので、ていねいな説明をおこなっていくことは大事であると思います」
1カ月たらずの間に3人の大臣を事実上、更迭した際も、岸田首相は同じ言葉を繰り返している。
10月24日、山際大志郎氏の経済再生担当大臣辞任に際して、岸田首相は「山際大臣については説明責任を果たしてもらわなければならない」と述べた。
11月9日、葉梨康弘前法務大臣が「法務大臣は死刑のはんこを押す地味な役職」と発言したことが報じられると、翌日、岸田首相は「自らの職責の重さをしっかりと感じて説明責任を果たしてもらいたい」と述べた。
11月19日には、「政治とカネ」問題を指摘されていた寺田稔前総務大臣に対して「説明責任は果たしてもらわないといけない」と語っている。
岸田首相が「ていねいな説明」「説明責任」と繰り返すたび、SNSでは怒りの声が巻き起こっていた。
《各閣僚が説明責任を徹底的に果たすようにする この言い回し聞き飽きたわ! 今まで説明責任果たした議員居ましたか???》
《何かしら問題が報じられると出てくるお馴染みのフレーズですが、これまで「うん、納得した」という説明を一度も聞いたことがない。聞いたことある方います?》
《岸田は、任命責任を重く感じるとか説明責任を果たすとか同じ言葉の繰り返し。まるで壊れた時計のよう》
岸田首相は、閣僚や議員に対してだけでなく、自らの政策についても「ていねいな説明」という言葉を頻繁に使っている。
8月6日には、安倍晋三元首相の国葬に反対意見が目立っているとの質問に対し、「さまざまな機会を通じて、ていねいに説明していきたい」と述べた。
9月22日にも、国葬に対する国民の理解が広がっていない状況について、滞在中のニューヨークで「最後までていねいな説明を続けていきたい」と語っている。
「これまで『政治とカネ』問題には無縁だった岸田首相ですが、ここにきて新たな問題が浮上しました。昨年の衆院選での『選挙運動費用収支報告書』に、宛名もただし書きも空白の領収書が94枚あったと『文春オンライン』が報じたのです。
11月24日、岸田首相は記者団の取材に応じ、『添付書類の領収書の一部に不記載のものがあった。今後このようなことがないよう指示を出した』と語りました。
今までは『ていねいな説明』『説明責任を果たす』で済ませてきたわけですが、さすがに自らの疑惑に関しては新フレーズが必要になったということでしょう。ただ、過去の話が問題視されているのに、『今後は気をつける』という回答では、問題のすり替えと言われかねません」(政治担当記者)
実際、SNSでは、岸田首相の発言に対し、怒りの声が巻き起こっている。
《岸田さんが最終確認して提出しているのだから、責任は間違いなく岸田さんにある 今回出した責任を取らず、「今後気を付ける」は違うでしょうに》
《これって「今後気を付ける」で済む問題でしたっけ? 最終的に岸田さんが確認してサインとハンコ押しているはず それで提出しているんだから今後どうこうではなく、今責任を取ることでは?》
「ていねいな説明」「説明責任」という発言を繰り返し、自らに疑惑が降りかかったら「今後は気をつける」。どんな疑惑もチャラになる “魔法の言葉” ばかり語っていては、支持率が上がるはずもない。
( SmartFLASH )