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今度は「EVモーター出力課税」ドライバーを苦しめる岸田政権の増税案に「税制も方針もグッチャグチャ」業界もユーザーも猛反発

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2022.12.13 16:50 最終更新日:2022.12.13 16:50

今度は「EVモーター出力課税」ドライバーを苦しめる岸田政権の増税案に「税制も方針もグッチャグチャ」業界もユーザーも猛反発

(写真・時事通信)

 

 2023年度税制改正が大詰めを迎えるなか、自動車関連の税制での議論が続いている。

 

 世界的な「脱ガソリン車」の流れを受け、政府は、燃費性能がいい自動車の税負担を軽くする「エコカー減税」を実施し、環境性能の高い車は減税対象にしてきた。

 

 車検のとき、重量に応じ課されるのが自動車重量税だ。「エコカー減税」では、EV(電気自動車・燃料電池・プラグインハイブリッド車など)に対して、2030年度燃費基準の達成度合いに応じて税負担を軽くしている。自動車重量税は国税で、財務省の所管だ。

 

 

 一方で、購入時にかかる自動車税(所得課税)「環境性能割」も、2030年度燃費基準の達成度合いに応じて税負担を軽くしており、EVなどは非課税だ。排気量に応じて毎年かかる自動車税(保有課税)「種別割」は、「グリーン化特例」などにより、EVなどは、取得した翌年度の税率が75%軽減されている。「環境性能割」「種別割」は地方税で総務省の所管だ。

 

 2021年度は、新車販売の7割近くがエコカー減税の対象車となっている。2022年度のガソリン税を合わせた自動車関連の税収は5.9兆円で、15年前より約1.7兆円減少する見込みだ。

 

「政府は、2035年までに乗用車の新車販売で電動車を100%にする目標を掲げています。ガソリンを使わないEVが普及すればするほど、ガソリンの税収は減少していきます。そこで、財務省や総務省は『このままでは道路の建設や維持管理の財源が不足する』と主張しているのです」(政治担当記者)

 

 財務省などは「EVはガソリン車より車体が200~300kg重く、道路や端に与えるダメージも大きい」と指摘している。そこで出てきたのが「走行距離課税」だ。ガソリン税がかからないEVにも課税でき、減少する自動車重量税を補うこともできるためだ。

 

「ただ、走れば走るほど税金がかかる走行距離課税については、元レーサーでもある三原じゅん子参院議員が、自身のTwitterで『これは国民の理解が得られないだろう』と批判するなど、自動車ユーザーから猛反発する声が上がりました。

 

 日本自動車工業会も、物流業者や車移動が多い地方の負担が増えるなどとして、永塚誠一副会長は『国民的議論がないままの拙速な導入は断固、反対する』と反発。岸田文雄首相は『議論があることは承知しているが、政府として具体的に検討しているわけではない』と、火消しに追われることとなってしまいました」(前出・政治担当記者)

 

 一方で、地方税である自動車税を所管する総務省は「EVへの新たな課税方法として、モーターの出力に応じて税金をかけるという考え方もある」と、検討を始めた。自動車税の「種別割」は、総排気量に応じて税金がかかるしくみだが、排気のないEVは最低税率のため、このやり方をあらためて、EVへの課税を強化する狙いがある。

 

 だが、「EVモーター出力課税」が検討されていることが報じられると、「走行距離課税」と同じく、SNSでは批判の声が巻き起こった。

 

《いい加減にしろよ・・・。財源論にしばられてるからこんな事言い続けるのよな・・・》

 

《取る事前提の議論に嫌気がしますなあ。政府に税負担を軽くして経済を後押しする気はさらさら無い》

 

《国はEV車に将来は全て切り替えるつもりだろうけど、これじゃEVにするメリットが個人としてはなくなるよね》

 

《税制も方針もグッチャグチャじゃねぇか》

 

 自動車工業会の永塚副会長は「電動化による燃料税収の減少分を手っ取り早く取れるところから取る、といった局所的な決め打ち、先行増税ということではなくて、ユーザーのみなさま方の納得のいくような国民的な議論を行うべきだ」とも述べていた。

 

 自動車関連の税金は、複雑で課税の根拠がわかりにくい、というユーザーの声も強い。2023年度税制改正が大詰めを迎えるなか、ユーザーが納得できる税制にすることができるだろうか。

( SmartFLASH )

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