社会・政治
菅元首相、ベトナムから岸田首相批判で復権目指す「派閥は離脱しろ」「消費税上げるな」…“菅派” の足場固めも順調
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.01.12 16:33 最終更新日:2023.01.12 16:39
1月10日、菅義偉前首相が、岸田文雄首相について「派閥政治を引きずっている」と批判した。訪問先のベトナム・ハノイで取材に応じ、岸田首相が宏池会会長を続けていることを問われ、こう語った。
「政治家は国民の負託を受けている。自らの理念や政策よりも、派閥の意向を優先するようなことはすべきでない。首相は国民全体の先頭に立って汗を流す立場にある。歴代(首相)の多くは所属派閥を出て務めていた」
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また、岸田首相が年頭に「異次元の少子化対策」を打ち出し、消費税の増税がささやかれていることに対し、こうクギを刺した。
「少子化対策はきわめて重要だと思うが、消費税を増税してやるということは(私は)まったく考えていない」
同日発売の月刊誌『文藝春秋』でも派閥の弊害を訴え、小泉純一郎元首相や安倍晋三元首相は在任中に派閥を離脱したとして、
「派閥政治を引きずっているというメッセージになって、国民の目は厳しくなる」
「総裁選で派閥の意向に反発すれば、閣僚や党役員のポストからはじくとか、従った議員と差をつけるとか、私はずっと疑問に思ってきました。派閥に入っていなくても、政策本位で、適材適所にポストに就けるのが大事でしょう」
と苦言を呈した。
菅氏は、自民党非主流派の中心的存在だ。2021年10月の首相退陣後、政権批判めいた言動は控えてきたが、ここに来ての「派閥政治&増税」批判に、「ポスト岸田」に向け、菅氏が動き出したとの見方が広がっている。
安倍晋三元首相の死去に憔悴した様子を見せていた菅氏だが、布石はしっかりと打ってきた。
菅氏に近い議員はこう話す。
「菅さんは、他派閥の議員でも参加できて、派閥横断的に “緩やかな連携” を作れる勉強会形式こそ、今の自民党内で大きな力を発揮できる存在になれると考えているんです。勉強会であれば、河野太郎氏も麻生派に残ったままでも参加しやすい」
菅氏を慕う議員は20~30人といわれる。首相在任時から河野氏、小泉進次郎氏との強固な “神奈川ライン” を組んでいた菅氏。自民党関係者はこう話す。
「派閥に固執せず、勉強会という緩やかな集まりなら、石破茂氏だけでなく、参加に意欲的な武田良太氏を入口に二階派の議員も多く取り込めるだろう。こうした議員の合流を考えると “菅派” は70人規模になり、党内への影響力は計り知れない」
ウクライナ戦争、安倍元首相の死去もあり、菅氏は勉強会結成の動きにブレーキをかけてきたが――。
「2022年12月23日の夜、菅氏は自民党の二階俊博元幹事長や森山裕選挙対策委員長、林幹雄元幹事長代理と会食。岸田首相の政権運営に関して意見交換したとみられています。
岸田首相の政策は、経済成長を重視した『アベノミクス』否定ともみられ、防衛増税、『異次元の少子化対策』での増税には、安倍派(清和会)を中心に反発が広がっています。
勉強会形式で清和会を引き込むことができれば、菅氏のもとに100人を超える『非主流派』勢力が集結することとなります」(政治担当記者)
岸田首相が欧州歴訪中に上がった『岸田降ろし』の狼煙。菅氏の今後の動きに目が離せなくなりそうだ。
( SmartFLASH )