1月21日、共同通信が報じた記事が波紋を広げている。
「政府、国民に『決意』要求 安保戦略、中国にらむ防衛力強化」と題した記事でこう報じている。
《政府は、防衛力の抜本的強化を柱とする新たな国家安全保障戦略を実施に移すため、世論説得に乗り出す。安保戦略では、中国の対外姿勢を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と表現し、国防への「決意」を国民に求めた》
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2022年12月に閣議決定した「国家安全保障戦略」の「策定の趣旨」にはこうある。
《国家としての力の発揮は国民の決意から始まる。国民の理解と協力を得て、国民がわが国の安全保障政策に自発的、主体的に参画できる環境を政府が整えることが不可欠だ》
だが、共同通信の記事が報じられると、SNSでは反発する声が多く上がった。
《全部政府だけで決めた後に「国民に『決意』要求」って順番が違うでしょ》
《岸田首相はやはり、「新しい戦前」にするつもりなのでしょうか。何とも恐ろしい事です》
《「国防への『決意』を国民に求める」資格などそもそも無い》
《岸田に「決意」を表明されるたびに、民意を無視しているんだな、と思う。いったい何%の支持率だと思ってるの?》
1月21、22日にANNが実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は前月より3ポイント下がり28.1%で、過去最低を更新。政権維持の「危険水域」といわれる3割を切った。
防衛費の増額や反撃能力の保有など防衛政策の見直しについては、岸田首相の説明が「不十分だ」との回答が8割を超え、防衛費の財源として段階的に増税する方針を「支持しない」が58%で、「支持する」の30%を超えている。
毎日新聞が1月21、22日に実施した世論調査でも、防衛費を増やす財源として増税することに「反対」が68%。さらに、増税する場合、岸田首相は衆院を解散して国民に信を問うべきかとの問いでは、「思う」が72%で「思わない」の18%を大きく上回った。
1月23日、岸田首相は施政方針演説で、防衛費の財源の一部を増税でまかなう方針について、「今を生きる我々が、将来世代への責任として対応してまいります」と理解を求めた。だが、支持率が過去最低を更新し続けるなか、国民が増税を受け入れる「決意」をするかどうかは、まだ見通せない。
( SmartFLASH )