大分の温泉地・湯布院にある旅館「ゆふいん椿」が、約24万円分の宿泊予約をしていた台湾人の男性旅行者から前日にキャンセルされ、キャンセル料を請求しようとしたところ、男性と一時、連絡が取れなくなるというトラブルに巻き込まれた。
男性は1月20日にチェックイン、22日チェックアウトの日程で、2022年12月に予約。関アジや和牛といった高級料理も注文していた。
宿泊前日の19日、男性はそれまで泊まっていた福岡の民泊オーナーに、同旅館へのキャンセルの連絡を依頼。オーナーから電話を受けた旅館は、キャンセル料について男性に直接、伝えようとしたが、電話番号は台湾のものしかわからず、メールをしても返信はなかった。
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同旅館によると、23日に帰国した男性から謝罪の電話があり、後日、振り込みの約束をしたという。じつはその間、台湾ではこの“ドタキャン”と“キャンセル料未払い”が、大々的に報じられていた。同旅館の店主が事情を語る。
「うちに台湾人のスタッフがいて、そのスタッフが、現地の知り合いに『こういうことがあって、男性に連絡したい』という話をしたところ、たまたまその知り合いが、メディア関係者だったんです。うちとしてはキャンセル料の話さえできればそれでよかったのですが、まさかこんなことになるとは思いませんでした。テレビや新聞で大きく報じられ、2日間くらい、台湾では炎上していたみたいです。
その後、帰国した男性は、メディアから『こんなことをしたんですか』と聞かれて驚き、慌ててこちらに電話をしてきました。ごめんなさいと謝罪され、すぐに振り込みます、と。でも、いまは春節中で銀行も休みだから、それが明けたら振り込みますから、と。もう解決です。海外の旅行者の場合、当日、来なかったり、突然、キャンセルされたりしても、旅館側は弱くて泣き寝入りすることが多いんです。今回は、回収できたからよかったです」
ネットでは「事前決済」を導入すべきという声が上がっている。
「この件があった時点で、予約サイト上に事前決済の設定をしました。じつは、海外の予約サイトでは、ずっと前から事前決済にしていたんです。ただ、日本人に対しては選択肢を狭めたくなかったので、日本人向けのサイトでは設定していなかったんです。
ところが、今回の男性が予約したのはそのサイトからだったんですよ。関アジのプランを選んでいるし、住所も福岡のものが入力されていたので、日本在住の方だと思ったんです。だから今回の件以降、日本人向けのサイトでも事前決済の設定をしました」
2018年に経済産業省が発表した飲食業界に関する推計では、「No show(無断キャンセル)」による損失は最大で年間2000億円にも及ぶ。ホテル業界でも、相当な額の被害が生じていると予想される。予約したからには、その責任は必ず取ってほしいものだ。
( SmartFLASH )