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岸田首相の長男秘書官が公用車で「欧米観光&ショッピング」識者が警鐘「世界から批判される日本政治」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.01.29 19:45 最終更新日:2023.01.29 19:48
2023年1月9日から15日にかけての岸田文雄首相の欧米訪問中、随行した長男の首相秘書官・翔太郎氏(32)が、ロンドンやパリ市内を公用車で観光し、百貨店でお土産を購入したと「週刊新潮」が報じた。
2022年10月に首相秘書官に就任した際、翔太郎氏は「身内登用」などと批判されており、今回も《国民には増税を強いて身内には大甘》《税金公用車パリ、ロンドン観光》などという厳しい意見がSNSに投稿されている。
また、これについては海外メディアも取り上げ、英BBCは「縁故主義」という表現を使って伝えた。
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一方、批判を受けて、木原誠二官房副長官は1月27日の記者会見で、翔太郎氏の行動について「あらためて点検をおこなっている」としたうえで、現時点で判明していることとして「個人の観光動機による行動はいっさいなかった」「政務秘書官としての公務として以外の不適切な行動はなかった」と述べた。また、お土産は政治家としての総理のために購入し、私用目的ではないと強調した。
この長男の行動はどのように捉えられるのか。米国をはじめ、国際政治に詳しい同志社大学准教授の三牧聖子氏が解説する。
「首相の外国滞在に随行した側近が、多少の買い物をすることはあるでしょう。しかし、翔太郎氏の問題はそこにとどまりません。翔太郎氏が就いている政務担当の首相秘書官というポストは、各省庁の経験豊富な官僚が就くようなポストで、翔太郎氏の任命は異例の抜擢でした。
岸田首相や松野博一官房長官は、任命を『適材適所』と正当化したわけですが、これを真に受ける国民は少ないでしょう。若く、政治経験もない翔太郎氏をこのようなポストに任用することは妥当なのか、単なる縁故主義ではないか、という批判がこれまでなされてきました。そして事実、女性記者に機密を漏洩していた疑惑が報じられるなど、任命の妥当性を疑わせる問題がすでに持ち上がっています。
こうした経緯を考えると、出張先のヨーロッパで公用車で『観光』していたのでは、という疑いを抱かせるような行動をとったこと自体、不用意であるといわざるをえません」
岸田首相は、翔太郎氏を自身の後継に据えるのではないかという声もある。
「岸田首相自身、祖父、父も衆院議員を務めた『3世議員』で、翔太郎氏の政務官への異例の抜擢も、自分の跡を息子に継がせるための布石ではないかとも見られています。日本の政治は、世襲議員の多さから海外メディアでは『縁故政治』『世襲政治』と批判され、民主主義国としての不健全さを指摘されてきました。直近の衆院選での自民党の世襲候補は3割に及び、オーストラリア、韓国、英国、米国などの民主主義国家で議員の世襲比率が5~8%であることを考えると、圧倒的な高さです。
世襲政治が跋扈すれば、血縁や地縁のない人は政治に進出しにくくなり、ますます一般人の感覚からかけ離れた政治がおこなわれることになります。翔太郎氏をめぐる数々の事件は、ひとつひとつは些細に見えても、日本政治の危機的な現状を物語っているように思われます」
ほかの民主主義国では、こうした問題は起こらないのか。
「もちろん諸外国で、こうした政治の私物化の問題がないわけではありません。最近の象徴的な例は、ドナルド・トランプ前米国大統領でしょう。トランプ氏は大統領時代、娘のイヴァンカ氏を大統領補佐官に、その夫のジャレッド・クシュナー氏を大統領上級顧問に任命しました。トランプ氏はイヴァンカ氏を、2019年に大阪で開催されたG20サミットにも参加させました。しかし、イヴァンカ氏のG20参加は、世界中から大顰蹙を買いましたし、こうした政治の私物化は、米国民にも歓迎されませんでした。トランプ氏は2024年の米大統領への立候補を表明していますが、以前のような熱狂的な支持を集めてはおらず、イヴァンカ氏も父とは一定の距離を置く姿勢を示しています」
民主主義の先進国・米国でも“縁故採用”はあった。そこまで日本が真似をする必要はないのだが……。
( SmartFLASH )