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【独自】ルフィ強盗事件“フィリピンから犯行指示”通報を警視庁が無視していた!被害拡大招いた2年半前の大失態

社会・政治 投稿日:2023.02.07 06:00FLASH編集部

【独自】ルフィ強盗事件“フィリピンから犯行指示”通報を警視庁が無視していた!被害拡大招いた2年半前の大失態

フィリピン収容所内のベッドでくつろぐ今村磨人容疑者。裁判所がすでに公訴を棄却しており、近く日本へ強制送還されるとみられている

 

「当時、私はフィリピンの収容所での凶悪な現状について、毎日のように警視庁の特殊詐欺担当部署に電話していました。あのころは『ルフィ』なんて名前は、世に出てきていなかった。しかし、今ニュースを見て、私は2年半前にすでにルフィを通報していたんだ、と思いましたーー」

 

 

 こう語るのは、関東在住の女性Aさん(30代)だ。彼女の内縁の夫であるKさん(30代)は、2019年11月にフィリピンで摘発された36人の特殊詐欺グループの一人だった(現在は日本で服役中)。

 

「Kは帰国して、自分の罪をしっかりと償うつもりでした。しかし、コロナ禍で日本への移送が滞ったときに、ルフィらと同じ収容所に入れられ、特殊詐欺や強盗の手伝いをしろ、と脅されました。Kはそれでも頑なに手伝いを拒否した、と聞いています」(Aさん)

 

 昨年から全国各地で発生している連続強盗事件。その指示役として浮上しているのがルフィだ。その呼び名は、フィリピンの収容所にいる犯罪グループのリーダー格、渡邉優樹容疑者(38)、今村磨人容疑者(38)らを指すといわれている。彼らはフィリピン国内での犯罪で裁判中だったが、強制送還される見込みだ。

 

「フィリピンの収容所では賄賂が横行し、収容者がスマホなどを持つことは容易。渡邉容疑者らは収容所内で、ほかの日本人などを支配し、組織的に犯罪指示を出していたとされています」(社会部記者)

 

 フィリピン収容所にいたころのKさんは、まさしく渡邉容疑者らの支配下に置かれていた。窮状を伝えられていたAさんは、2020年5月ごろ前述のとおり、何度も警視庁に“告発”の電話をかけていた。

 

「Kからスマホのメッセージで、収容所内で酷い目に遭っていることを聞いて、一刻も早くそこから助けたいということをまず相談しました。それだけでなく『実際にフィリピンからの指示で日本で犯罪が起きている』というKの証言を伝えたんです。特殊詐欺の電話をかけていることだけでなく、ルフィたちが日本国内で強盗犯罪に軸足を移し始めていて、実際に被害が出ていることも伝えました。

 

 それでも警視庁は『海外だから捜査できない』と言うばかりで無視でした。あのとき、警察が真剣にフィリピン側にかけ合っていたら、ここまで強盗事件が拡大することにならなかったと思います」(Aさん)

 

 Aさんは、具体的な収容所内のやり取りも聞いていた。

 

「驚くべきことに彼らは『強盗したら、そこに火をつけろ』という指示まで出していたそうです。彼らが指示した強盗現場で実際に火事が起きたときは、収容所内で『放火を指示したやつは死刑だな』と、話していたと聞きました」

 

 国際電話で実際に指示を伝えるのは、“部下”の役回り。末端の彼らが躊躇いもなく凶悪犯罪の指示を出せてしまうのは、収容所内の「恐怖支配」に逆らえないからだ。

 

 Aさんを通じて本誌が入手した、フィリピン収容所内で撮られた動画がある。幹部の男がライターで棒に火をつけると、向かい側にいる男性の脚に向けて伸ばす。「ジュッ」と何かが焼けた音がしたーー。

 

「渡邉容疑者ら幹部は、自分らに従わない人間がいると暴力を振るうのが当たり前。下の人間を使って、マッサージをさせたり、日常の世話をさせたりしていた。それだけでなく、詐欺などの犯罪のノルマを達成できない収容者には、動画のように火あぶりで痛めつけるんです。なかには、ベッドともいえない狭いスペースに閉じ込められる収容者もいました。そうやって、恐怖で支配したあとに『俺にカネを払えば刑を軽くしてやる』とうそぶいて、カネを巻き上げることもあった、とKから聞きました」(Aさん)

 

 警視庁はAさんの告発になぜ対応しなかったのか。質問状を送ったが、「個別の事案については回答を差し控えます」とのみ返答があった。ようやく“ルフィ逮捕”に動きだした日本警察だが、もっと早く逮捕に動きだすことができたのではないか。警察不祥事に詳しいジャーナリストの寺澤有氏はこう話す。

 

「警察の捜査は、特殊詐欺の末端である受け子・出し子の逮捕を優先しています。実際に、私が入手した受け子の通話履歴をもとに、指示役を探そうとしたことがあります。多くは解約されていたり、繋がらなかったりしたのですが、指示役ではない一般人の何人かに繋がりました。彼らは『警察から電話が来たことはない』と話していました。

 

 つまり、警察は指示役を捕まえる気がないんです。また、フィリピン国家警察には長年、警察庁幹部がアドバイザーとして出向しています。現地の日本人収容者を捜査しようと思えば、いくらでも対応できたはず。被害が拡大するまで動かなかったのは、受け子・出し子の逮捕で点数を稼ぐ警察の捜査方針にあります」

 

 遅すぎた対応の取り返しはつかない。

( 週刊FLASH 2023年2月21日号 )

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