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予算をひねり出すのは簡単!明石市長が岸田首相に指南「仕事は4つに分けろ」…異次元の少子化対策を実現する方法
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.02.13 20:10 最終更新日:2023.02.13 20:10
「これ以上放置できない待ったなしの課題」として、「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田文雄首相。児童手当の所得制限撤廃、支給対象年齢の引き上げ、子供が2人以上いる家庭への増額案などが議論されている。
現在、児童手当は中学生まで1人あたり月額1万~1万5000円が支給されており、今回、第2子は3万円、第3子は6万円に増やす案や、支給対象を18歳まで引き上げる案などが俎上に載せられている。
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これらをすべて実現するには数兆円規模の財源が必要とされ、4月の統一地方選後に本格的な検討が始まると見られる。またもや首相の得意技である決断の先送りかと思いきや、「そんなことはない」とチクリと刺すのは、全国の子供政策をリードする明石市の泉房穂市長だ。
「岸田総理なんて、アメリカに媚び売って防衛費の増税をすぐ決めるし、安倍派に気を遣って国葬を決めてるやん。国民は誰も望んでないのに。アメリカと仲よくしたい、安倍派の支持が欲しいと思ったら決断できてはりますやん。ものすごい即断実行の方でんがな。単に国民に目が向いてないだけ」
財源確保のために、増税案がささやかれている。
「私たちの国民負担率はすでに48%とか言われて、もう十分すぎるほど負担しているわけ。遠い昔に国民の負担率が低かったのは事実だけど、いまや諸外国並みなんですよ。
よく財務省に嘘をつかれるけど、消費税はたしかにヨーロッパと比べて低いけど、そのぶん、日本は医療保険や介護保険がいっぱいあるから、税金と両方足したらほかの国と同程度は負担している。
国民にこれ以上出せというのがおかしくて、いまのでやれよという話。ほかの国は同じ負担率でいまの日本の倍の子供予算を組んでるんやから、できないわけがない。
官僚がいままでツケてきたカネを減らしたくないだけですわ。それに騙されてる政治家と、それをチェックできない学者連中、情報を垂れ流すマスコミのせいで国民の誤解を招いている」
では、具体的にどのように捻出すればいいのか。
「私が市長になって、予算を削減するときにやった一つのやり方は、仕事を4つに分けるということ。すなわち『must』『better』『may』『don’t』。それぞれ『しなきゃいけない仕事』『したほうがよい仕事』『してもしなくてもいい仕事』『してはいけない仕事』です。
少子化や経済の停滞を考えれば、子供政策はマストで今やらなければならない。そして、不正は文字どおりドント。この2つはシンプルです。
してもしなくてもいい仕事も簡単。即やめる。今の時代、やったらあかんわけじゃないけど、どっちでもいい仕事なんてやる余裕はない。でも国はメイの仕事だらけで、これらをやめるだけで金が生まれます。
いちばんの問題はベター。公共事業はここに入ります。道路は狭いより広いほうがいい、下水道管は小さいより太いほうがいい。言ってしまえば、なんだってベターです。
そこで、ベターを3つの観点で切りました。『代替性』『緊急性』『コスト』です。つまり、『ほかに方法があるんじゃないか』『2、3年待ってもいいんじゃないか』『もっと価格を抑えられないか』と検証します。
しかし、いま国ではこれが不問にされていて、その結果、漫然とムダが膨らみ続けている。この3つをチェックするだけで一気にカネは生まれます。
明石市で当初600億円で進められていた下水道の工事を、私は150億円に圧縮しました。100年に1回のゲリラ豪雨で10軒の床上浸水対策として、市内全域の下水道管を太くする計画だったけど、その10軒のエリアに絞ってほかの対策を取ればより安全になったし、450億も浮いた。
要は、本当の安全対策ではなくて、業界対策がおこなわれてきたんです。カネをばら撒くための施策。国はそんなことばっかりやっています」
トップの権限は大きく、覚悟をもって決断すればなんでもできるという。
「結局、お金がないというのは思い込みで、国債発行も増税もできない明石市でさえ、子供予算を倍にできてるんですよ。
最近嬉しいことに、東京都や福岡市や品川区など、みんな追随してきている。変わり者の明石市長でなくてもできるんやから、本当はトップが決断したら金はなんとかなる。
自治体では、予算編成権はトップだけが持っていて、たとえば財政当局に『子供予算に年間10億円かかるから税収10億円減ったと思ってくれ。思ったね? 以上』と伝えればいいわけ。トップが決めた瞬間に予算はできている。
あとの調整は官僚の仕事だし、それでやりくりせんかいと。政治決断で、これまでのカネが減る前提で指示をするだけ。私が総理だったら一瞬で予算シフトできますわ。その代わり、スキャンダル流されたり、殺害予告が来るかもしれんけど(笑)。
それは冗談で、結局、政治家が腹をくくって、誰かに嫌われたり憎まれてでも市民、国民、くさい言い方をすれば社会の未来のために決断するかどうかが問われているんです」
現状を「社会基盤を維持できるかどうかの瀬戸際」と位置づける岸田首相は、思い切った決断で “検討使” の汚名を返上できるか。
( SmartFLASH )