女性は洋服代や美容代などの出費があるから、デート代は男性が払うべきだ――。
2月12日、セクシー女優の深田えいみが投稿したツイート(現在は削除済み)に、ネットユーザーの賛否は大きく割れた。ひろゆき氏ら、多くの著名人も自説を披露し、大騒動になっている。そんな男女間の永遠のテーマについて、いま話題の国際政治学者・三浦瑠麗氏(42)が取材に応じた。
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「深田さんのことは詳しく知らなかったのですが、この“デート代論争”は気になっていました。私はけっこう男性と2人で飲むんですが(笑)、自分で払いたいほうだから」
彼女がそうしたスタンスに至った経緯。それを深掘りすると、「三浦瑠麗」という日本一、有名な国際政治学者の精神的支柱が見えてきた。
「深田さんは24歳ですから、ロマンティックなデートがしたいと思う世代ですよね。ですが、女の子のそんな思いをかなえてあげられるのは、同世代の男の子ではなく、経済的余裕がある年長の男性だというケースはよくあります。
18歳から27、28歳くらいまでの女の子は、すごく高い“値づけ”がなされ、幅広い年齢層の男性から、贅沢なディナーを奢られたりすることがあるんですよ。私も大学生になって、神奈川から出てきた当初はそうでした」
三浦氏は、著書『孤独の意味も、女であることの味わいも』(新潮文庫)で、東京大学在学中に、年長の妻帯者と交際した経験や、六本木のキャバクラでアルバイトしていたことを赤裸々に綴っている。
「夜の仕事は経験程度だけど、なんか馴染めなかったんです。5回くらい通って、やめてしまいました。年上の男性に食事をご馳走になる機会もありました。でも、自分の力で得たのではないものに“価値”が生まれ、奢られてしまうことが、すごく息苦しかったんです。いきなり“資本主義社会”に放り込まれたようで……。
そういう意味では、夜の仕事の経験が、いまの“自分で払いたい”というスタンスに、逆の形で表われているのかもしれませんね」
三浦氏は、大学の先輩である清志氏(投資会社TRIBAY CAPITAL代表)と、18歳で出会った。最初は親友としてデートを重ね、22歳で結婚した。
「夫は仕送りを受けていましたが、そんなに豊かな学生ではありませんでした。そのあと、彼は公務員(外務官僚)になったので、給料も高くありませんでした。彼に金銭的に完全依存したのは、博士論文の執筆と、妊娠・出産が重なった2年ほどだけです」
その後は、現在まで経済的に自立しているという。
「それに近年では、私のほうが稼いでいますから(笑)。今でも、住宅ローンなどの基礎的な出費は折半ですが、全体としてみれば夫の負担は、半分以下ですね。もともと、仕事人間の夫に比べると、私のほうが趣味の幅が広いんです。ちょっと外食をしたり、園芸や家具、旅行などの“潤い系”の費用は、基本は私持ちです」
では、三浦氏はなぜ男性に奢るのか。
「私が払ったほうが、男性が自由になれる場合もあるでしょう。女性に対してつねに奢らなければ、という心理的負担を取り除いてあげたほうが、私だって楽だからです。
逆に、今回の“男が払うべき”論者のなかには、『目先の会計ではなく、将来的にも稼げる男』であることを示すためにデート代を払え、といった主張がありました。価値観はさまざまですが、その場限りの関係ならともかく、こういう考えの方と結婚することは女性にとって“牢獄”になる場合もあると思います。
男性からは“生活安全保障”を与えられる代わり、子育てを完璧にこなさなければならない、などといった重圧がのしかかりかねません」
一方、夫の清志氏は、三浦氏に自立した収入と地位を得ることを求めた。三浦氏の仕事が忙しくなって以降は、たまの2人の時間を大切にしつつも、外で誰と会うか、報告し合うことも少ないという。
今年、43歳になる三浦氏。先日、「女性自身」(2月28日号)で「腕組み・しなだれ」という見出しで、タクシーの車内で寄り添うなど、別々の男性との連夜のデートを報じられた。
「浮気報道? いやいや。仕事関係の親しい友人ですよ。1日めは最初にカレー店に行ったのですが、そこは『折半しよう』ということになって割り勘でした。その翌日に訪れたと報じられたホテルのバーには、会食用のボトルを入れており、ここでは私が払っています。こっちが相談に乗ってもらったのですから、払うのは礼儀ですよね」
いまでも“デート”を楽しむ三浦氏も、20代のころには現在の姿を想像できなかったという。
「私も、デートをするのは10代から20代までの特権だと思っていました。若いころは、結婚から先は、子育てくらいしか見えていませんでした。でも、私のまわりには40代や50代の独身やバツイチの格好いい女性で、デートを楽しんでいる方も多いですよ。
男性だって、相手の女性が若ければ若いほどいい、お金がかかってもいいっていう考え方ではなく、共通の趣味とか、お店に対する馴染み方とか、料理をどんな感じで頼むかみたいな、細かなこだわりを共有できる人を求める方が増えているように思います。そこには、“男が奢るべき”というしきたりはありません」
そして、記者が持参した本誌「三浦瑠麗 露わになった『隷従妻』の素顔」という記事(2月14日号)を手に取ると、あっけらかんと笑いながら言った。
「“隷従”していないのは、『女性自身』の記事を見れば明らかじゃないですか(笑)。そういう印象を持たれるのは、私が優しいからでは……と、自分で言うと変ですが、毎日ではないけど、夫にお弁当を作ってあげていますし、オフィスのみんなにお菓子を買ってきたりとか、サービス精神があるタイプなんです。
家事を8割こなしてお金も出しているから、フェミニストは私のことを嫌うのでしょうね。しかし、今回の『デート代論争』について、フェミニストの多くは、男女同権を標榜しながら、“男が奢るのは当然”という立場から踏み出せていませんよね」
いくら発言が物議を醸そうとも、三浦氏は、これまでの生き方を変えるつもりはないという。
取材&文・鈴木隆祐