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南伊勢町「1億6000万円横領」の次は「7年間ボーナス計算間違い」過少支給のみ時効で職員「泣き寝入り」の悲劇
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.03.02 18:12 最終更新日:2023.03.08 16:59
三重県南伊勢町が、職員のボーナスの計算ミスで、7年にわたって規定とは異なる金額を支払っていたと、3月1日付の「朝日新聞」が報じた。
金額を誤ったのは2013年6月~2020年6月分のボーナスで、約40人に過大支給、および過少支給していた。育休や病気で休んだ職員の賞与について、担当職員が計算ミスしていたという。職員の交代がきっかけで発覚した。
現在、町は多く受け取った職員に対し、計約400万円の返還を求めて交渉中で、大半は合意しているという。
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一方、満額を受け取れなかった職員の差額、計220万円については、時効のため、町はまったく支払っていないことが本誌の取材でわかった。時効は、過大支給については5年だが、過少支給には3年と定められている。過大支給についても、時効により計200万円は返還の必要がなくなった。
賞与が正規より少なかった職員は、さぞや怒り心頭だろう。町総務課の担当者に尋ねると、「納得しているかどうかはわかりませんが、今のところ、表向きは何も言ってきてはいません」。結局は泣き寝入りのようだ。
多く受け取った職員はすでに返還したのだろうか?
「ほとんどの職員が返してくれましたが、あと数名……もっとも多い額である80万円を戻さないといけない人や、役場の責任ではないか、と主張する人が応じてくれていません。すぐに支払える額でもないですし……」(南伊勢町総務課担当者・以下同)
南伊勢町といえば、2022年6月に町立病院の元職員による1億6000万円超の公金横領事件が発覚。金銭にまつわる不祥事が続いたことには、役場の体制が何か関係しているのだろうか。
「計算ミスが続いた7年間、役場は気づけませんでしたが、ある職員がひとりで給与を担当していたことが、いちばんの原因かと思われます」
担当する職員がひとりだけというのは、公金横領事件とも共通している。被告はひとりで会計を担当し、周囲の職員に、経理計算のパソコンには「触らないで」と伝えていたという。結果、犯行は、病院の前の町上下水道課勤務時から含めて、6年も続いた。
「たしかに『ひとりで』というのは、共通する言葉かもしれません。ひとりでやっていたら、チェックもききませんから……」
また、公金横領事件では、被告本人だけでなく、その上司にまで最高3000万円の賠償金の支払いを町は求めている。今回も、ミスをした職員に損害金額を請求などということはありえるのだろうか?
「現時点ではまだわかりませんが、今後の進捗次第で、そういうことも否定できません」
病院の会計や、職員の給与計算という重要な仕事を、ひとりでやらなければならないほど、役場は人手不足なのだろうか。ある町議会議員は「そんなことはない」と否定する。
「平成17(2005)年に、度会郡南勢町と南島町が合併して、いまの南伊勢町ができました。そのため合併直後は、役場の職員はものすごく多かったんです。年々、減らしてはいるものの、いまでもまだ230~240人ぐらいいて、人口1万1000人の自治体にしては多すぎるほどです。決して、職員が足りないということはないと思います。要は、適切な職員の配置ができていなかったということだと思います」
合併してすでに20年近く経過。人員も余っていながら、計算間違いを長年、放置していたとはお粗末な話だ。
( SmartFLASH )