ネット上は“大荒れ”の様子だ――。
2023年の統一地方選挙でもっとも注目を集めたのは、山口県に違いない。衆院山口2区では、岸信夫前防衛相の議員辞職に伴い、補欠選挙がおこなわれた。信夫氏の長男である新人の岸信千世氏と、無所属元職の平岡秀夫氏との一騎打ちとなり、これを制したのは岸氏だった。
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「信千世氏は慶應義塾大学商学部卒、フジテレビの社会部記者を経て、信夫氏の秘書、信夫氏が防衛相時代の秘書官を歴任しました。立候補にあたり、公式ホームページを立ち上げたのですが、そこで書かれた内容が物議を醸しました。信夫氏のほか、伯父の安倍晋三氏、祖父の安倍晋太郎氏、曾祖父の安倍寛(かん)氏、岸信介氏、曾祖叔父の佐藤栄作氏の6名の名が記された家系図を掲載したのです。あまりに露骨な“家柄自慢”に、批判が殺到しました」(国会担当記者)
結局、家系図はホームページ上から削除されたが、岸家への信頼が勝ったということか。
もうひとつ、県内で議論の的となっていたのは、衆院山口4区だ。2022年に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の議席を争うものとなった。自民党公認の新人で、安倍昭恵さんが熱烈に応援する吉田真次氏が本命視されていたが、立憲民主党は、2022年まで参院議員を務めていた有田芳生(よしふ)氏を擁立した。
「保守王国と言われる山口県ですから、これを切り崩すためにインパクトの強い人物を用意した、ということでしょう。有田氏は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題をテーマに掲げました。街頭演説で、『下関は統一教会の聖地』と発言し、多くの議論を呼びました」(同前)
結果的には、こちらも“安倍氏の後継”と目される吉田氏が勝利した。ネット上ではもちろん、
《吉田真次さん、岸のぶちよさんのご当選、本当によかった》
《これで山口はとりあえず安泰》
と喜ぶ声も聞こえてきたが、一方で、
《山口県民っておかしいのかな》
《日本の恥 山口県》
《山口県は統一聖地確定》
と、結果に痛烈な疑問を寄せる声が出ている。
「NHKによると、18時の段階で山口2区の投票率は24.71%、4区は20.36%でした。そもそも、投票率が低すぎて、山口県全体の民意といえるのかどうかは、議論の余地があります。ネット上では、旧統一教会や世襲問題をめぐって激論が交わされましたが、低い投票率は保守派を利する結果となったようです」(同前)
今後は、2人の“新人”の実力が、国会で試されることになる。
( SmartFLASH )