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口に銃を入れて殺された「ラーメンヤクザ」の素顔…過去にもカチコミ、2人組による “犯行予告” で深まる謎

社会・政治 投稿日:2023.04.24 20:40FLASH編集部

口に銃を入れて殺された「ラーメンヤクザ」の素顔…過去にもカチコミ、2人組による “犯行予告” で深まる謎

事件のあったラーメン店「龍の髭」

 

「突然バン、バン、バンと3回鳴ったんですよ」

 

 4月22日、神戸市長田区にあるラーメン店「龍の髭」の店内で、店主の余嶋学さんが銃で頭部を撃たれ死亡した。現場近辺の様子を冒頭のように明かしたのは近隣住民だ。犯人は銃を持ったまま逃走しており、住民らを恐怖に陥れている。

 

「従業員からの119番通報があったのが午前11時過ぎでした。鼻と口から大量の出血はあるものの、運び込まれた救急病院で外傷が確認されなかったことから、警察は当初、脳梗塞による死亡と記者にも説明しました。しかしその後、CTによる撮影で銃弾のようなものが確認されて、銃撃事件に切り変わりました」(事件担当記者)

 

 

 被害にあったラーメン店は「テールスープ」が売りで、若者に大人気。Googleレビューでは3.8と評価されている。

 

「じつは、『龍の髭』以前にも別のラーメン店が入っていて、その店があまりに不味かったんですよ。でも、数年前に余嶋さんの店に代わり、美味しくなったんです。周りもみんな1回は食べたほうがいいって言っていました。こんなことになって残念です」(近隣住民)

 

「とんこつラーメンに近いけど、あっさりして何とも言えないスープが評判でした。ネットで評判がいいせいか、若い人も多かったです。昼時なんかは、近所の工場に勤めている人でいつも満員でしたよ。安くてボリュームもあった」(別の近隣住民)

 

 地元で話題の人気ラーメン店ーー。ところが、この店には “裏の顔” があった。余嶋さんは、現役の組長だったのだ。ある暴力団関係者がこう語る。

 

「渡世名は湊学で、六代目山口組系弘道会傘下湊興業の組長でした。借金もあり、お金に困って自らラーメン店で働いたようです。天下の弘道会傘下の組長が、まさか厨房に立っていたとは驚きですよ」

 

 実際、店に違和感を覚えた近所の住民もいる。

 

「お店は入りづらい雰囲気でした。コワモテの男のグループがよくたむろしていて、家族のように仲よさそうに話していました。そのなかに入る気がしなかったことがあった」

 

 また、別の住民は、

 

「小さなラーメン店には似合わない、黒塗りの高級車がしょっちゅう店の前に止まってて、“その筋” かなという気はしてました」

 

 と語る。実は、以前にも、店にカチコミがあったという。

 

「店に車が突っこんで、入口から店内まで、全部ぐちゃぐちゃに壊される事件があったんです。これだけなら交通事故かと思うけど、警察に被害届を出さなかったと聞いて、“こら確実や” と思いました。一般人なら間違いなく被害届を出すでしょうからね」

 

 カチコミの原因は、前店長とのトラブルだったと噂されている。

 

「最初に余嶋さんが店をはじめたころは、オーナーというかたちで、自分ではラーメンを作ってなかったんです。店長を雇って、その人に任せていた。

 

 でも、店長は余嶋さんと揉めてケンカ別れしたらしい。その後、余嶋さんが実際にラーメンを作ることになった。車が突っ込んできた事件は、その頃のこと。元店長とのトラブルが原因じゃないかと噂になっていました」(前出の近隣住民)

 

 何かとトラブルが絶えない様子だった余嶋さん。近所に住む高齢の女性は、

 

「知人が中学校の同級生やったけど、『余嶋は、えらい “ゴンタくれ” やった』と。つまりとんでもない不良やったと言ってました」

 

 とも語っている。

 

 弘道会といえば、特定抗争指定暴力団である六代目山口組の二次団体。これまで、分裂した神戸山口組や絆會、岡山の池田組などと激しい抗争を繰り返してきただけに、今回も抗争の可能性が指摘された。

 

「しかし、抗争事件が起こったときは各組織に『待機』命令が出されますが、今回は出ていないのです。しかも、弘道会トップの竹内照明会長は、六代目山口組の髙山清司若頭とともに、23日に都内で執りおこなわれた極東会特別顧問の葬儀に参列している。

 

 抗争が起きたのだとしたら、身内の直参が殺された翌日に都内まで来ないでしょう。そもそも、余嶋さんのところは若い衆がほとんどおらず、“一人組長” だったと聞いていますし……」(前出・暴力団関係者)

 

 実際、余嶋さんが組長を務める湊興業の事務所には、ここ数年、人の気配がなかったという。赤煉瓦をがっちりと積み上げ、窓のない異様な建物の入口には、暴対法により使用禁止の張り紙が貼ってある。

 

「以前は美容室でしたが、あるとき、余嶋さんに持ち主が変わりました。要塞みたいな家ができて驚いていたら、いかにもな風体の人が出入りするようになって、困っていたんです。

 

 警察もよくやってきて、怒鳴り合いをしていました。でも3、4年前からぴたっと人が出入りしないようになって、今はもう静かになっています」(事務所近くの住人)

 

 若い衆もおらず、ラーメン店のオーナーとして細々と暮らしていたとすれば、なぜ射殺されなければならなかったのか。事件前、ある暴力団関係者の元には “犯行予告” がされていたという。

 

「今回の実行犯は、2人組で事件を起こす前、知り合いのヤクザに『今からやってきます』と連絡してきたそうです。しかも、引き金を引いた後に『やりました。これで体(たい)をかわします』と言ってきたというんです。

 

 体をかわすというのは、警察から逃亡するという業界用語です。組同士の争いというより、個人的なトラブルがこじれて殺害したのかもしれない。警察がどこまで情報を把握しているか不明ですが、少なくとも抗争事件が起こったという感じではないですよ」

 

 暴力団の事情に詳しい大阪の会社経営者は、すでに余嶋さんとトラブルがあったとする具体的な暴力団関係者の名前が取りざたされていると明かす。

 

「事件発生当日の15時くらいには、もう『銃を口に突っ込まれて撃たれた』という情報が関係者の間に流れていたんです。銃声はあったので、銃で撃たれたことはわかったとしても、なぜ口に銃をとかわかったんでしょうかね」

 

 さらに別の暴力団関係者は、余嶋さんが引退したがっていたと語る。

 

「余嶋さんは組長を引退し、別の団体の顧問に下がることを執行部にかれこれ数年も訴えていたようです。

 

 神戸山口組の分裂で、上納金は20万円に下がったものの、実質的に一人親方(組員がいない組長)なので、ラーメン店で払っていくのは厳しかったと思いますよ。

 

 でも、湊興業は弘道会にとって唯一の兵庫県内の直参団体なので、執行部として許すわけにいかなかったんでしょう」

 

 犯人の逮捕と真相解明が待たれる。

( SmartFLASH )

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