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バイトが来ない!深刻な人手不足に飲食業界は「時給上げ」「福利厚生」そして「成長の見える化」で対応
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.05.19 21:00 最終更新日:2023.05.19 21:06
飲食業界の「人手不足」が深刻だ。大手チェーンでも、週末や深夜に営業をやめる店が出るなど、その影響が出始めている。
「コロナ禍で休業や営業時間短縮などを余儀なくされ、多くの飲食店が人件費削減のためアルバイトを解雇しました。そのため、アフターコロナを見据えて再募集をかけても、すでに他業種で働いていて、人が思うように集まらないのです。アルバイトやパートの応募がなく、『客は来るのに店が回せない』という状況で、閉める店も増えています」(経済担当記者)
外食コンサルタントの松下雅憲氏も、「全国展開する大手チェーンでも、稼ぎどきのゴールデンウィーク前に、突然、閉店した店舗があります。人気があったお店なので、おそらく人手不足で営業できなくなったのでしょう」と推測する。
ニュースのコメント欄には、
《飲食どこ行っても必死の形相で店員が走り回ってる 人手足りなすぎるんだね》
《コロナであっさりクビにされたことを学生や労働者は忘れていない。使い捨てにされる仕事というのがわかったんだと思う》
《給料や労働条件が悪ければそんな職場誰も働きたくない、それだけ》
《コロナで補助金沢山貰ってたくせに簡単にクビにしてきたツケ》
など恨み節が多く見られる。
東京商工リサーチが4月3日~11日におこなった、全国の企業を対象にした「人手不足」に関するアンケートによると、全体の66.5%の企業が「正社員不足」と回答。宿泊・飲食サービス、卸売・小売、教育・学習支援、医療・福祉で人手不足が深刻になっている。
このままでは、今後も人手不足による倒産が加速しかねない。
こうした事態を受け、時給もうなぎ登りになっている。5月11日放映の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)では、都内の洋食店が、アルバイトの応募がないため、時給を2000円にしたことが報じられた。ほかにも時給1800円のラーメン店もあるという。
また、福利厚生を充実させる企業も増えている。3月8日の読売新聞によれば、社員の健康増進のため、トレーニングジムに通う費用を補助したり、誕生日祝いを贈ったり、スーツ購入費を支援する企業もあるという。だが、こうした負担は、企業にじわじわとダメージを与えかねない。
「現状では、『人手不足が時給アップにつながり、ひいては経営を圧迫、やがては倒産』という悪循環のシナリオが現実味を増しています」と前出記者。
しかし、松下氏は「すべての飲食店で人手不足に陥っているわけではありません。人手が戻っている店もたくさんあります。しかも、けっして時給が高いわけではありません」と言う。
その差はどこにあるのか。
「たとえば『マクドナルド』は、標準的な店でアルバイトが80人ほどいます。時給もきわだって高いわけではありませんし、『マニュアルどおりに働いているだけ』という印象を持たれがちです。しかし、実は長く働くアルバイトが多いんです。
その理由として、店長がアルバイトに『今日やること・チャレンジすること』を確認してチェックリストを作り、勤務中や終業時に進捗を聞き、『成長の見える化』を実践しているんです。これが『働きがい』につながっています。
中小規模の飲食店でも、独自に成長を感じてもらえる工夫をしたところは、SNSの口コミから採用増につながりました。今の時代、応募時こそ時給や店のブランドなどで選んでも、それだけで長続きはしません」
募集をすればアルバイトがすぐに集まるという時代は終わったのだ。
( SmartFLASH )