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経団連が児童手当の所得制限撤廃反対&増税要望 変わらぬ姿勢に「子ども増やすのやめておこう」高まる批判
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.06 15:21 最終更新日:2023.06.06 16:18
6月5日、経団連の十倉雅和会長は定例記者会見で、政府が1日に公表した「異次元の少子化対策」素案に盛り込んだ児童手当の所得制限全廃について、反対の意向を示した。
「財源の中でメリハリをつけなければいけない。経団連としては納得感が少ない」
また、中長期的な少子化対策の財源として「税を含むベストミックスを検討してほしい」と述べたうえで「そうでなければ持続可能ではない」とも指摘した。
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政府が公表した素案では、児童手当は所得制限の完全な撤廃を意味する「全員を本則給付」と明記。支給期間を高校卒業まで延ばし、第3子以降は0歳から増額する。2024年度からの実施を目指すことが盛り込まれた。
また、2024年度から3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」は、年間3兆円台半ばの予算規模(事業費ベース)とし、財源確保に向けて、消費税などの増税はせず、徹底的な歳出改革をおこなうとした。社会保険料への上乗せを念頭に置いた「支援金制度」も盛り込んだが、詳細については年末に先送りした。
「十倉氏は4月、『こども未来戦略会議』の初会合でも、児童手当の所得制限撤廃に疑問を呈したうえ、財源について税を含めた検討を求めました。
同月、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の新会長に選出された際にも、少子化対策の財源について『税を含めた安定財源の確保の議論が必要だ』と強調しています。
また、5月29日に鈴木俊一財務相に意見書を提出した際にも、所得制限撤廃の効果を疑問視する意見を盛り込んでいます」(政治担当記者)
十倉氏の考えは一貫しているというわけだ。だが、自民党が復活させた「所得制限」は、これまで「子育て罰」という言葉を生み出した経緯がある。
「旧民主党政権は『所得控除から手当へ』を掲げ、『子ども手当』を支給する一方で、年少扶養親族(~15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止しました。
ところが、自民党は『子ども手当』をバラマキと批判。2012年6月ぶんからは所得制限が復活され、年収960万円程度以上の世帯には月5000円の『特例給付』が支給されるだけに。さらに、2022年10月からは、夫婦どちらかの年収が1200万円以上だと、給付はゼロとなってしまいました。この世帯は、年少扶養控除38万円がなくなったことを考えれば、子どもを産み育てるほど負担増となり、『子育て罰』という言葉が頻出するようになったのです」(同前)
「子育て罰」に苦しんできた世帯にとって、所得制限の撤廃は悲願だったわけだ。ところが、十倉会長が児童手当の所得制限全廃について反対の意向を示したことで、SNSでは批判の声が高まっている。
《真面目にいい加減にしてほしい こんな歪な所得制限を維持する方がおかしい 本当に内容分かってて反対してるの?》
《しつこすぎる。あーた、男性育休のことだけ言ってればいいわよ》
《十倉会長は子ども手当(当時)の創設と引き換えに年少扶養控除が廃止されたことをご存知の上でこのようにおっしゃっているのでしょうか? だとしたら本当に残念です》
《せっかく所得制限無くそうって方向性になったのに、横槍を入れる経団連。こういう団体がいる限り、一旦所得制限無くなってもまたすぐ復活するんじゃないかと怯えなければいけないんですよ。となるとやっぱり子供増やすのやめておこうとなりますよね》
《あの…合計特殊出生率が過去最低というニュースが出たばかりなんですけど…経団連の存在意義にも納得感少なくなってきました》
6月1日に政府が示した素案では、16~18歳で1人年38万円の扶養控除の考え方を整理することが明記された。扶養控除が縮小されたうえ、所得制限が復活したら、「子育て罰」という悪夢が復活することになりかねない。
( SmartFLASH )