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厚労省「3歳まで在宅勤務を企業の努力義務とすべき」に「3歳までの子育てをナメてる」看護休暇の延長も「分断を生む」露呈した不人気ぶり
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.13 17:40 最終更新日:2023.06.13 17:40
6月12日、厚生労働省は、仕事と育児、介護の両立支援策について有識者研究会の報告書案を公表した。
子育て中の社員は、子どもが3歳になるまでは、在宅勤務ができるよう企業に努力義務を課すべきだとした。在宅勤務が保育所の入所選考に不利にならないような配慮も、自治体に求めた。
また、残業免除の対象を現行の3歳までから、小学校入学前までに拡大するよう提言した。小学校入学後は、男女ともにフルタイムで働けることを目指し、子どもの看護休暇の対象を現行の小学校入学前から、小学3年修了時まで延長することなどを明記した。
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厚労省はこの内容を踏まえ、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で制度内容を詰める。2024年にも育児・介護休業法など、関連省令の改正し、2026年度までに実現することを目指す。
現在、育児・介護休業法により、子どもが3歳になるまでは、短時間勤務制度(原則、1日6時間)が企業の義務となっている。また、子どもが3歳になるまでは、残業免除の対象となっている。
さらに「3歳まで在宅勤務」が、企業に努力義務として課されるわけだが、SNSでは批判的な声が多く上がっている。
《3歳までの子育てをナメてるよね。そもそも在宅勤務が可能な職に就いている人に限られる》
《保育園に預けつつ在宅ならわかるが、小さい子育児しながら働くのは無理。あと、何度も言うけど、小学校入ったら全てなくなるの、やめてくれない?》
《未就学児は保育園、小学生は在宅勤務でみるのが理想的なんだが…》
看護休暇は「育児・介護休業法」で規定されており、小学校就学前の子どもがいる労働者は年5日、2人以上いる場合は年10日、取得することが可能だ。
ただ、厚労省の「令和3年度雇用均等基本調査」によると、子どもの看護休暇制度の規定がある事業者の割合は65.7%にすぎない。規模別では、従業員500人以上で「規定あり」が95.5%にのぼる一方、29人以下では60.3%。事業規模が小さくなるほど看護休暇制度の規定が少なくなっている。
また、看護休暇は給与について法律上の規定が設けられておらず、「無給」が65.1%、「有給」が27.5%、「一部有給」が7.4%。看護休暇の取得者がいた事業所は28.3%にとどまっている。
看護休暇制度が小学校3年生まで拡大するのは前進だが、働く会社の事業規模により差があるのが現実だ。そのため、SNSではこんな声も。
《『努力義務』。この言葉、無意味を超え、分断を生む危険ワード》
《企業間の対応格差がますます広がりそうです。全体的に是正するためには、労使交渉が広がるしかないのですが…》
《残業免除とか看護休暇とかも職場次第だしはっきり言えば現場任せじゃんね。ほんと小さい会社なんか絶対無理だよ》
児童手当では、自民党が「所得制限」を課したことで、子育て層間で所得による分断が生まれた。新たな子育て政策で、事業者の規模による「分断」が生まれなければいいのだが……。
( SmartFLASH )