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岸田首相「解散回避」のウラにあった世襲議員41人の落選危機…翔太郎氏の宴会騒動で岸信千世氏、石原宏高氏も危ない!

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.16 06:00 最終更新日:2023.06.16 06:00

岸田首相「解散回避」のウラにあった世襲議員41人の落選危機…翔太郎氏の宴会騒動で岸信千世氏、石原宏高氏も危ない!

翔太郎氏の公邸での宴会写真が流出し、秘書官更迭を決めた岸田首相。傷は浅くないようだ

 

「今の国会での解散は考えていない」

 

 6月15日、岸田文雄首相は立憲民主党が提出を検討している内閣信任案について、否決する予定であると明かし、不信任案を受けて衆議院の解散をおこなうつもりはないと明言した。解散風が吹き荒れる永田町を鎮める一言だが、永田町では、多くの議員が6月16日解散を信じてきた。

 

「岸田内閣の支持率は広島サミットで上がりましたが、年末までに、子ども対策の財源を確保するための増税を発表する必要があります。長男・翔太郎氏との “公邸宴会” 騒動でミソがついたものの、タイムリミットが決められたなかで、総理は傷の浅いうちに解散しようと目論んでいるという話でした。

 

 

 大方の予想では、自民党の議席は10~30弱減るとされました。苦しいですが、単独過半数を維持できるなら仕方がない。つい最近まで、議員同士で顔を合わせると『選挙の準備はできた?』と聞くのが挨拶代わりでした」(自民党関係者)

 

 だが、岸田首相の “逃げ切り戦略” におよび腰な議員も多かったという。

 

「翔太郎氏の一件で、岸田総理は一族の地位を守ることにだけ執心する “悪しき世襲議員” という印象が強まりました。その影響の大きさは楽観視できるようなものではなく、一部の議員からは戸惑いの声が出ています。選挙をやりたがっていた自民党議員は、岸田総理と、周囲のごく一部だけです」(政治部デスク)

 

 政治ジャーナリストの野上忠興氏もこう語る。

 

「日本人は、この種の政治家にまつわる身内びいき問題に敏感に反応しがちですから、選挙では世襲議員そのものに厳しい視線が注がれるでしょう。のほほんと『地盤、看板、鞄』だけでは、当選できなくなったということです」

 

 そこで本誌は、選挙情勢の分析に定評のある野上氏に当落予想を依頼。小選挙区選出の、自民党のおもな世襲議員93人をリストアップし、6月16日に解散した場合の命運を占ってもらった。その結果、なんと41人が落選危機にあるという結果が出た。岸田首相が “敵前逃亡” したのも頷ける結果だ。

 

「そもそも、前回の総選挙で、次点との得票差が1万票以下だった議員が12人。2万票差以内で当選した議員は28人いました。公明党の票は1選挙区で1~2万票といわれますから、公明党が本格的に支援してくれない場合、2万票差以内で当選した議員は、それだけで赤信号です」

 

 たとえば、川崎ひでと議員は、祖父が厚生大臣、父も厚生労働大臣などを務めた三世議員だが、前回の衆院選ではわずか990票差の “薄氷の勝利” だった。

 

「橋本岳議員も、あの “橋龍” の息子でありながら、前回選挙ではわずか5000票差の勝利。逆風が吹くなかでの選挙ではかなり危ういですよ。林幹雄議員も以前から落選危機といわれてきましたが、今回は厳しいでしょう。元総務会長の佐藤勉議員も、前回は5000票以下の得票差で勝っていますから、落選の危機といえるかもしれません」

 

 さらに義祖父が池田勇人元首相で、総務大臣まで経験した寺田稔議員も驚きの△だ。柿沢未途議員の場合、自民党の支援すら受けられない可能性がある。政治アナリストの伊藤惇夫氏が語る。

 

「柿沢議員は、みんなの党から、維新の党、民進党、小池新党、そして現在の自民党と “渡り鳥” の状態です。党内ではかなり嫌われていて、いまだに都連が支部長に任命していないんですよ」

 

 今回のリストには載っていないが、比例復活で当選した議員の多くも、当落線上にある。たとえば、石原慎太郎氏の息子・石原宏高議員だ。

 

「前回は東京3区で落選した後、比例で復活しましたが、学会票がなければ危ない。今回の選挙で、石原家の政治家の命脈が、ついに途切れるかもしれません。元衆議院議員の甘利正氏を父に持つ甘利明議員も落ち目ですね」(伊藤氏)

 

 そして、伊藤氏が世襲議員の “落日” として最も注目するのは岸信千世議員だ。岸信介氏、佐藤栄作氏を曾祖父に持ち、父は岸信夫という、華麗なる一族だ。

 

「4月の衆院補選では平岡秀夫候補に5768票差まで詰め寄られました。保守王国・山口ですら “世襲” が安泰ではなくなったのです」(同前)

 

 統一教会との関係が明らかになった議員も、洗礼を受けることになる。

 

「統一教会の票は全国でせいぜい5~6万票ですが、手弁当で選挙を手伝ってくれるため、運動員としては重宝するわけです。統一教会との関係が問題になった議員の “運動量” が低下するという影響はあるでしょう」(同前)

 

 その影響を最も受けそうなのが、萩生田光一政調会長だ。

 

「統一教会との関係が明らかになり、公明党が “仏敵” として目の敵にしています。東京24区の公明票は4万票以上あるといわれていますが、この票がなくなり、野党が候補者を一本化できれば、萩生田さんといえども落選する可能性がある。しかも、統一教会も “我々を見捨てた” と憤ってるといわれ、その影響は大きいはずです」(同前)

 

 野上氏は「明らかに潮目が変わった」と指摘する。

 

「自民党以外に、日本維新の会という新しい選択肢が増えた影響が大きいです。支持層が重なる維新に、保守票が流れる可能性が高いのです。

 

 そもそも、『10増10減』で地方の選挙区が減らされ、黙っていても自民党は7つか8つ選挙区を落とすことになるわけですからね。“G7人気” なんて一時的なもの。自民党は政権復帰以来、最大の『危機』に瀕しているのです」

 

 今回は “撤退” を選んだ岸田首相だが、起死回生の一手はあるのだろうか……。

( 週刊FLASH 2023年6月27日号 )

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