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「『奨学金の返済苦』が自殺の動機」2022年に10人の報道で「奨学金なんてまやかし」「学生ローンに名前を変えろ」の大合唱
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2023.06.18 16:50 最終更新日:2023.06.18 16:52
6月18日、朝日新聞が報じた記事が反響を呼んでいる。
朝日新聞はこの日『自殺の動機「奨学金の返済苦」、22年は10人 統計見直しで判明』と題した記事を報道。2022年の自殺者のうち、理由のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことが、警察庁などのまとめでわかったという。
10人の内訳は、20~30代の男性6人と、10~20代と40代の女性4人。
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警察庁や厚生労働省によると、原因や動機は、各都道府県警が自殺と判断した事案で、遺書や遺族への聞き取りでわかったものを、「親子関係の不和」「仕事の失敗」といった選択肢のなかから選んで分類するという。
2022年からは自殺者の統計が見直され、この選択肢を細分化して新たな項目を作り、52から75に増やして、選べる数を最大3つから4つにした。新たな項目として「奨学金の返済苦」が作られたことで、初めて明らかになったという。
日本学生支援機構(JASSO)で、2021年度に奨学金を利用した学生は148万人。うち、貸与型はおよそ8割。一般的に、卒業後の返還期間は12~20年に及ぶという。
自殺の動機のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことで、SNSでは、貸与型奨学金の名称を「学生ローンに変更しろ」という声が飛び交った。
《奨学金って呼び方やめて学生ローンにしたら?》
《利息のある奨学金は名称を変えるべき。学生ローン、借金です》
《これが自称先進国の実態。「貸与型奨学金」というまやかしの言葉はやめよう。実態は「学生ローン」》
3月28日の参院予算委員会では、共産党の田村智子参院議員が貸与型奨学金の問題を取り上げた。
田村氏は、労働者福祉中央協議会がおこなった奨学金返済の生活設計への影響調査で、結婚への影響が37.5%、出産と子育てへの影響が3割超となっていることを指摘。日本学生支援機構の貸与型奨学金の総貸付残高が、2021年度末で9.5兆円にのぼることを明らかにしたうえで、こう岸田首相に迫った。
「学生を含めてだが、おもに20代、30代の若者が総額9.5兆円もの借金を、この日本では負っている。これは2006年度末と比べると、2倍の規模になっている」
「そのうちの7割は、利子までついた借金。これは異常じゃないか、支援策が必要ではないか」
さらに田村氏は、米国でバイデン大統領が2022年、連邦政府の学生ローン返済をひとり最大1万ドル(約130万円)まで免除すると発表したことを指摘したうえで、岸田文雄首相に、「日本でも、全員に一気に返済総額の半額を免除するぐらいの対策をするべきではないか」と迫った。
対して、岸田首相はこう答えた。
「単純に比較できるものではないと考えている。日本では、年間の平均授業料が国立で54万円、私立で93万円。米国では、州立で300万円、私立で500万円。そして日本では、低所得世帯に無利子で貸与をおこなっている。有利子でも0.37%。米国は原則すべて有利子で、4.99%。結果として、日本はひとりあたり平均154万円だが、米国はひとり当たり平均521万円となっている。日本として、負担軽減に向けて独自の政策を進めていくことが重要であると考えている」
だが、貸与型奨学金には延滞リスクもある。延滞すると延滞金が上乗せされるうえ、3カ月を超えると債権が債権回収会社に移り、個人信用情報機関に登録されるため、住宅ローンが組めなくなるなどのリスクが生じる。延滞を解消しても、完済後5年まで記録が残るのは、まさにカードローンと同じ扱いだ。
日本学生支援機構によると、2017年度に給付型奨学金制度が創設されて以降、2021年度まで5年間の支給実績は、累計で2900億円。貸与型奨学金の残高9.5兆円に比べると、あまりに少ない。
政府が6月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」には、大学に進んだ場合の高等教育について、以下の項目が加えられた。
・授業料減免の対象を年収600万円までの多子世帯などに拡大する
・子育て期の家庭の経済的負担に配慮した貸与型奨学金の返済負担の緩和
・授業料後払い制度の抜本拡充などにも取り組む
朝日新聞は、自殺の動機のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことを「氷山の一角」とも報じている。岸田政権は、貸与型奨学金の返済負担を緩和することができるだろうか。
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